「電気問題」が運んできた「石膏」

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もう一か月近くも前のことで
恐縮なのだが実は「電気問題」を
抱え大変困っていた。
まず、ここ数か月の間に
立て続けに「天井の電気」が
つかなくなり、電球を新しいのに
取り替えてもだめ。
寝室、資料室、トイレ、台所、テラス・・・と順につかなくなっていく。

規則性を感じさせる
ところが妙に怪しい。
この家は魔物につかれてしまったのだろうか。仕方なくランプの光で対応するが、薄暗く不便きわまりない。

それだけなら
「ええい、日本へ行っちゃえ」
なのであるが、廊下およびシャワー室のコンセント部分が出べそのようにぶらさがってしまっている。
「こ、これはいかん」
と思った矢先、玄関のブザーが故障。

これで決まり。
で、電気屋のお兄ちゃんの登場!なのである。が、その前に実はひともんちゃくあった。明日あさってでことが運ばないスペイン。
「日本に行くのでその前に何とか!」と拝み倒して翌日来てもらうことに。

フランシスコ(初対面の電気屋さんでも名前は呼び捨て)は、10時から入っていた別の仕事へ行く前にうちの寄ってくれるという。
「じゃ、明日8時に伺います」
「えっ、8時。そんな早く」
「だって急ぎなんでしょう」
「そうだけど・・・」

で、7時に目覚ましをセットして
家の掃除などしていたら8時前に
来るではないか。早っ。

フランシスコは道具一式を持って、Tシャツ&短パンで現れた。
そして「問題リスト」を受け取ると、てきぱきと仕事をこなしていった。
てきぱき仕事をするマラガ人を見るのは久しぶりだったので
私はすっかり感動し、次回も電気問題はこのお兄さんに
お願いしようと心の中で決めていた。

出したコーヒーにも手をつけず
フランシスコは電気問題のすべてをあっというまに解決してくれた。
そして最後に、天井の配線の溝を埋めるため
写真のような「石膏(漆喰)」をバケツで練って作りだした。
粉と水をバケツに入れかき混ぜるだけで出来上がる
その代物に私はすっかり感動し、気がついたら自分の手を
そのバケツの中に突っ込んでいた。

「・・・・・・」
フランシスコは無口だったので、言葉を失っているだけであった。
怒られないのをいいことに
「これ、乾いたら固まるんだよね?」

フランシスコは嫌がる様子もなく
残った石膏で、私に作り方&使い方を教えてくれた。
これからまだ仕事に行かなくちゃいけないのに。
そして残った石膏をすべて容器に移してプレゼントしてくれた。

「ありがとう!いいの?」
道具を片付けながらフランシスコは
「いろいろな家に行ったけど、石膏に興味持たれたのは初めてだよ」
と、白い歯を見せて笑った。
頭に石膏のくずをつけたまま。それがとても美しく見えた。

数か月に渡る「電気問題」はやっかいだったが
フランシスコを通して私に「石膏」を運んで来てくれた。
出会いというのは、問題の姿をしていることもあるんだな。
と、あらためて思った。