カナダの残酷アザラシ狩り

3月中旬になると、あちこちに「春の訪れ」を感じるようになります。
日差し、風、野原の草花、畑、鳥の声・・・
でも、カナダの「アザラシたち」にとっては毎年決まってやってくる
「悪夢の季節」の到来です。

生まれたばかりの赤ちゃんアザラシが、まっ白なのをご存知でしょうか。
柔らかいまっ白な毛に包まれて、それは雪の色、氷の色。
まだ泳ぐことも、早く動くこともできない赤ちゃんアザラシは
氷の色に同化して、ちょっとやそっとじゃ、敵から見えないようになっているのです。
なんて自然は、不思議な力で、生命が育つように力を貸してくれているのでしょう。
生まれたばかりの小動物が、サバンナでライオンたちに見つからないように
「匂いがない」のと同じです。
そうして、2週間~数ヶ月の赤ちゃんアザラシは、氷の上にころがって
母親が海から戻ってくるのを待っています。
頭をそっともたげて、黒くうるんだ瞳を、まん丸くいっぱいに開いて。

その脳天をめがけて、先の尖った金具のついたツルハシ状の棒を
狩人たちは容赦なく振り下ろします。
たいてい3,4回続けて、脳天に力いっぱいツルハシをくらわせます。
声をたてる間もなく、血を流しながら、
ぐったりとなる赤ちゃんアザラシ。
まっ白な毛皮が傷つかないよう、脳天を狙うのです。
大切な毛皮に穴が開かないよう、銃弾は使いません。

母親の目の前で、次々と「打殺」されていく赤ちゃんアザラシ。
抵抗する母アザラシは容赦なく、撃ち殺され
まっ白い氷の原に、血の色だけが広がります。

こうして脳天を「打殺」された赤ちゃんアザラシの数は、
年間30~40万頭にも、のぼります。
まだ意識があるアザラシもいます。打たれどころが悪くて。
そうすると、生きたまま毛皮をはがされ
残りは海や氷の上に捨てられることになります。
わたしは二度、この「アザラシ狩り」のドキュメンタリー番組を見ましたが
凄惨な光景でした。
赤ちゃんアザラシが何も知らず、背後で今まさに男がピックを振り下ろそうとしている瞬間
目をうるませて、頭をもたげ、海から帰るお母さんを迎えようとしている。

問題は狩人だけでなく、この狩りにお金を払い、毛皮を買い取る国があるということ。
そして、毛皮を売る店があり、喜んで買う人間がいるということ。
その「システム」すべてが問題であり、
このシステムうを支える「メンタリティ」こそが、一番の問題なのです。

このカナダのアザラシ狩りの大部分は、
ノルウェーをはじめとする、一見なんの関係もなさそうな先進国が買い取り
「美しい白い毛皮」にかえています。

「グリンピース」が一度、この残酷、極まりない悪事を公表してから、
一時はアザラシ狩りに、規制がかけられました。
が、ふたたび規制はゆるみ、
カナダの氷の原は、3月中旬になると赤い血で染まっています。

毛皮を買わないこと。
毛皮をボイコットすること。
アザラシ狩りに反対すること。

もう絶滅してしまった、アラスカの原住人たちは、当然アザラシ狩りをしていました。
食べるために、生きるために、肉を食い、毛皮を衣類にし、血も油も骨も使った。
「自分の手を血に染めて」狩ったのです。
収穫への感謝と、自然への畏敬の念を抱いて。

社交界の奥様がたに、言ってあげたいですね。
まっ白い毛皮に身を包んで、さっそうと現れたところへ
「あら、なんてすてきな赤ちゃんアザラシでしょ!」

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