10.ボルベモス・ア・カサ!

CIMG0875 CIMG0884 CIMG0883 『大男の島』に着くと
レオン・アルコイリス(虹色羽ライオン)は大きく息を吸い込みました。
「すぅう~ふうぅー」
全身をふるわせながら
ぐんぐん息を吸い込みます。

「お前たちは誰だ。俺様の島で
何をしている!」
小屋から現れたのは大男です。
レオンアルコイリスは力いっぱい
全身から息を吹き出しました。
「ギギーギャン、ググ~、ゴゴー!」
ものすごい壊れた楽器のような音が
あたりに広がりました。
「うわぁ!耳が・・・助けてくれ!」

大男が逃げ出すと、フェオーナと
レオン・アルコイリスは一目散に
小屋の中に飛び込みました。
「ミ・パハロ!(わたしの鳥)」

あやうくスープにされそうになっていた鳥を、おりの中から救い出すと
フェオーナは、いつも鳥のために歌っていた歌を、うたい始めました。
「ふふん、いい歌だ・・・」
レオン・アルコイリスが、羽をぶるるんとはばたかせます。
「たくさん音を吐き出したので、おなかがすいてきた。もっと歌を聞かせておくれ!」

鳥はフェオーナの腕の上で、ひとつ、ふたつ、みっつ、続けざまにあくびをしました。
「この歌が、大好きだったんだ・・・いつも当たり前に聞いていて、気がつかなかったけど」

フェオーナと鳥は、たくさんの回り道をしました。
たくさんの悲しい思い、怖い思いをしたけれど
この冒険のあいだ、大切なことに気づきました。何度も何度も。
「エレス・ミ・テソーロ!(あなたはわたしの大切な宝もの)」
互いが互いの、かけがえのない存在であるということ。

「ボルベモス・ア・カサ!(お家に帰ろう)」
いっしょにいるために。これからずっと。

フェオーナはもう自分の鼻がきらいではありませんでした。
この大きな鼻のおかげでこうして無事、鳥を探し出すことができたのです。
「冒険っていいな・・・」
とフェオーナは思いました。
その前と後で、自分の何かがすっかり変わってしまうのです。
「さぁ、行くぞ!」
レオン・アルコイリスはフェオーナと鳥を背に乗せると
虹色の羽をぶるるんとはばたかせ、大海原へと飛び立って行きました。

(完)

ここまで「ベラの絵本」を読んでくださったみなさま、ありがとうございました。
描くたびに登場人物の顔が変わってしまう点、どうかお許しください(笑)
あまりに筆圧が強く、全部裏写りして机に描いてしまったベラ。
怒るわけにもいかず・・・これから掃除です。もも

 

Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]

「10.ボルベモス・ア・カサ!」への4件のフィードバック

  1. 全10話で完結しましたね。
    一度、全部通して読んでみたいと思います。
    改めて何か発見あるかも。

  2. クロ隊長、応援ありがとうございました。
    「今度は、絵本&音楽をいっしょにしたいな!
     ももが曲を作って、僕が絵を描くんだよ!」
    って、やる気満々なのはいいが、とにかく暑すぎて「ははあ~っ」と
    しか答えらない・・・
    15ユーロって言おうとして、15センティモ(ユーロの下の単位)
    って口は言ってるし、頭が回らないです。暑い~。

    日本はもうすぐ夏休みですね。
    楽しんでくださいね~!

  3. ベラの絵を見ながら、自分の心の赴くまま表現するってことは大事なことなのかもと思いました。無邪気ですよね。ベラの絵。私はあれこれ考えてしまうので、なかなかベラのような絵は描けません。

    マラガは暑そうですね。気温だけ見ると名古屋もあまり変わらないほど暑いけど。

  4. 「自分の心のおおむくままに表現」って、いい言葉ですね。
    なかなかできないことなので、クロ隊長!
    わたしたちをどうぞ、練習台に使ってください。
    どんなクロ隊長でも、わたしたちOKです。
    少々のことでは驚きませんので
    安心して、どわっときてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です