8. 日本の歌謡番組と向上心

お世話になります。ベラです。
マラガ、今日は、いい天気です!
お元気ですか? 日本、さむい、さむい?
おだいじにしてください。

これは「日本語レッスン」じゃない、
「ベラの部屋」だと、ももが横で言っています。
今日は、日本のテレビを見ていて発見した、
もうひとつの「すごい!」を書くことにします。

みなさんにとっては、ふつうのことかもしれませんが
「日本の歌謡番組」を見て、僕は仰天しました。
少なくとも、僕が見た歌手、およびオーケストラの人たちは
全員、「ライブで」実際に歌い、演奏しています。

これが、なぜすごいかというと
スペインではテレビに出てくる歌手、およびミュージシャンは
すべて「口パク」「演奏のふり」だからです。
だから、音と口があってなかったり
ミュージシャンの楽器にも、コードがなかったりします(笑)。
だから、実際どれだけ歌がうまいのか
楽器が弾けるのか、誰にもわかりません。
そのかわり、すごいお金をかけて「スタジオ録音」したものを
テレビで、くりかえしかけるわけです。
まったく嘆かわしい事実ですが、それがスペインの実態です。

日本の歌謡番組を見たとき、僕は三つのことを感じました。
「生の音を聴くことに、慣れている日本人」
「リハーサルすることに、慣れている日本人」
「アーティストにお金を払うことに、慣れている日本人」

そのどれもが、スペインにはないものです。
これは、単なる「番組制作費のうんぬん」ではなく
音楽に対する国民のメンタリティと、大きく関係していると思います。
ひとことで言うと、スペイン人は「非常にめんどくさがり屋」です。

たとえば、名古屋の町を歩いていて、仰天したことのひとつに
「ごみ箱がない」ことが、あります。
こんなことをしたら、スペインではまず
「町中ごみだらけ」になって、たいへんなことになります。
ごみ箱がないから、「あるところまで持っていく」のが日本人。
ごみ箱がないと、「めんどくさ~い、ええい、捨てちゃえ」がスペイン人。
おかげで、野も山も川も、ごみだらけ。

「確かにたいへん。でも、やってみよう!」という向上心、
何かを貫くといった精神は、日本人独特のものなのです。
結果、クオリティに差が出るのは、当然のことといえます。

ももは、かなりおおざっぱな性格ですが
それでも日本人だな、と感じる瞬間はよくあります。
それは、仕事中に見せる驚くべき「ディシプリーナ」です。
ものすごい集中力と勢いで、僕にはまねもできません。
って、言ったら今、横で笑っています。

「ディシプリーナ」を辞書でひいたら「厳しい訓練」「特訓」だって。
もも、特訓が好きらしいです。

(「ベラの部屋・9」につづく)

~音楽と絵の工房~地中海アトリエ・風羽音(ふわリん)南スペインだより