今夜は、名古屋のライブハウス「エルム」で、いよいよ演奏である。
両親が、豊橋駅まで見送りにきてくれる。
「がんばってね~、べラちゃん」
「ちゃんと、今日はもも、話せるのかねぇ」
両親の心配は、ひとえに「わたしのトーク」であった。
先日の、中津川ケアセンターでの
わたしのトーク、および日本語があまりにひどかったので
「ちょっと~、演奏よりしゃべる練習したらぁ?」
と、まじめに言うのであった。
会場である「エルム」に到着。
こじんまりとはしているが、とても上品な雰囲気のお店であった。
1階がライブハウス、2階は控え室で、
なんと、ここにもグランドピアノがある。
一軒のお店に二台のグランドピアノ、これはすごいことである。
さて、わたしたちは演奏前に、取材があるということで
「ナゴヤ劇場ジャーナル」の記者である、上野さんと待ち合わせていた。
上野さんはスポーツ刈りの、とても若々しい男性だった。
だから、あとから実年齢をきいて
「ええっ・・・・」
とベラまで、驚いていた。でも、話をするうち
どうして上野さんが、そんなに生き生きしているのかがわかってきた。
上野さんは、淡々とした口調で話す。
反応も非常に穏やか。
スペインの取材とは、まるで対照的である。
たまに静かに笑いをもらしたり、うれしそうな表情をちらりと見せる。
この「ちらり感」が、実にいい。
「なるほどねぇ~」
穏やかにうなづく上野さんを見ながらわたしは、
「ああ、この記者という仕事が心から好きなんだなぁ」
と、しみじみ思った。
「天職についている人」には、独特の空気が漂う。
一見すると、なんのかわりもないが
「ビジネス」でやっているのとは、明らかにちがう空気だ。
一言でいうなら、「温かさ」「温度」がちがう。
その人に近づいたときに、すっと感じる温度が。
どんな立派な人だろうと、
冷たい空気を漂わせていると、わたしは魅力を感じない。
何かを心から好きだと、大切にして生きていると
その人は体温があがって、ぽわ~んと温かいのだ。
そんなことを感じた、上野さんとのひとときだった。
そうして1ヵ月後、送られてきた「ナゴヤ劇場ジャーナル」誌には
上野さんの心あたたまる記事と
わたしたちの「大笑い写真」が載っていた。
たしか、あのときカメラを向けながら上野さん、言ってたなぁ。
「はい、もっとくっついて。いつもみたいに、笑っててくださ~い」
あらためて見るが、いい写真だ。
まったく自然体で。いや、無防備、というのか。
わたしたち、あのとき上野さんに笑いかけていたんですよ。
取材のこと、忘れて。
この「ナゴヤ劇場ジャーナル」の記事を
12月20日の「近況」で
Kenさんが、紹介してくれています。
よければ、こちらでご覧になれます。
わたしたちの「大笑い」の写真も。
うわぁ~、ありがとうございます。
「劇場ジャーナルの記事」を読めるようにしていただいて。
こういう青字の、クリックすると開くのを、なんというのですか?
よろしくレクチャー、お願いいたします。