昨日の続き。この「青いベガシリーズ」は、最初に「文章」があった。
ベガ(織姫)のアモール(愛)の物語「ベガモール」は、彼女のつぶやきからなっている。
愛、孤独、歓び、悲しみ、涙、情熱・・・
天真爛漫なラテン気質のベガが、私の中で誕生してから「文章」があふれ出した。できれば彼女の生き方、考え方をも伝えたい。
そんな思いでペンを取り、七割はここ数か月で書いたもの。残りの三割は、これまで書きためていたものの中から手直しして使うことにした。
この「青いベガ」シリーズは全17作品。最初の段階で30編近くあったものを、最終的に約半数に絞り込んだ。
「文章」が決まると、いよいよ「絵」に取りかかるのだが、実は一か月以上、どうしようかとずっと考えていた。
私は「描き出すと」早いのだが
「これだ!」
というアイデア、スタイル、方向性が見えないと動かない。
ある日、テラスから外を眺めていた。ほとんど「軟禁」状態で連日ペイントしていたので、外へ一度も出ない日が何日も続いていた。
休憩がてら、テラスから空を見上げる。
「あそこにベガはいるんだなぁ」
吸い込まれるような地中海の空。濃紺。マリンブルー。色が濃すぎて紫がかっている。写真を撮ると黒っぽくさえなる。
「あそこから、海を見下ろしているのかなぁ」
いつのまにか、ベガの視点で考えていた。
青い空、青い海。それが毎日ベガが目にしているもの。
その瞬間、私の中で何かがはじけた。
「青い空、青い海の中に住むベガ!」
それから、一気に描き出した。ケント紙に向かって、絵の具は青だけ。私は下描きはいっさいしないので、青い筆一本で描いていった。一枚、二枚、三枚・・・
筆が、私を導く。考えることは何もない。
「パチッ」
とはまる瞬間がある。これだ、という。あとはただ、うねりに身を任せて進んでいけばよい。
その時、はたと気づく。
「文章を入れるスペースが必要だ」
これまでは絵だけ描いていたので、それを考える必要はなかった。今回は「絵と文のバランス」も考えねばならない。
「絵と文で、一つの作品となる」
そのためには、絵が文を生かし、文が絵を生かすこと。
どちらかがメイン、もう一つは補助的という形ではなく
「お互いがお互いを引き立たせる」
スタイルを、どうしても作り出したかった。
そしてその結果が、今回の「青いベガ」シリーズになった。私としてはとても満足している。
なにより描きながら、いつも空と海と一緒にいた。ベガと一緒に。今では、気のおけない友人のような気がしている。
(明日に続く)