毎年恒例の「親子旅行」。地元のよさを再発見の旅シリーズで、今回は吉良温泉へ。どうです、この眺め!地中海といい勝負。
ビーチにはヤシの木まで並びリゾートムード満点。ただあまりの猛暑&湿気で、冷房のきいた部屋から一歩も出られず。今回の日本滞在すべてこれ。
さっそくホテルのお風呂へ。あぁ〜これが極楽。青い空と海を眺めながらのんびりゆったり露天風呂。これぞニッポン。地中海もいいが温泉もいいなぁ。
さて、温泉の後はお待ちかねのビール。まずは父と乾杯。「お疲れ様でした〜!」「二人とも元気でよかったね」
この日は懐石料理だったので、なんとなくお上品な雰囲気。前菜から始まり、お刺身、焼き魚、肉料理、鍋まで。おいしい〜。うれしい〜。冷房がきいているから食欲も復活。
しめはもちろん「西尾の抹茶」。オーレ!それで思い出した。いつだったかマラガのお茶屋さんで「抹茶」を見かけ、ラベルの生産地を見たら「西尾」だった(笑)。
「おお〜っ」って、一人で感動。「愛知県から来た」というだけで、しばし立ち尽くしてしまうほど感激。
三年前までは、四人で囲んだテーブルに今は二人。母とベラを続けて亡くしているので、こうして笑って食事ができるだけで幸せ。
「そういえばあの時・・・」
私たちはよく思い出話をする。それを笑って語れるようになれたことがうれしい。そして父は、この日もそっとカバンに「遺灰」をしのばせてきた。
家族旅行のたびに、父が行う小さな儀式。海や川や山など景色のいいところに、ほんの少しだけ遺灰をまく。
「家族旅行だから、一緒にね」
大切な聖なる儀式は、誰にも知られずにひっそりと行われる。私にはそういう習慣はない。メンタリティも。前しか見ないのが私の生き方だから。よくも悪くも。
父のそういう姿を見るたびに、私は再び強く決意する。
「前だけ見て歩いていこう」
自分の生き方を貫いて。遺灰のことを忘れてしまうくらい集中して、鮮烈に。命をかけて生き抜こう。アートと愛に。
(明日に続く)