ピアノ教室を始めて20年になる。3年、5年と毎週レッスンに来ていた子供たちが、中学生や高校生になったのを機にやめていく。
グロリアちゃんとは4年間のおつきあいだった。うちの教室では一番絵が好きで、また一番多くオウムを描いてくれた子でもある。
4年間で描いた絵は200枚にのぼる。今回、全てをまとめてお母さんに手渡すことにした。私のために描いてくれた数枚だけは、今も大切にとってある。
なんとこのステキな「ピアノを弾く私&オウム」が最後の絵となった(写真)。マーカーを使ってとても上手に描く。
そこで私からは「マーカー&色鉛筆50本」、そしてグロリアの大好きなオウムからは「写真レター」をプレゼント(写真)。
いちおうオウムのメッセージ付き。「私をいつもかわいく描いてくれてありがとう」「グロリア・ラブ」など(笑)。
彼女は毎週レッスンに来るたびに必ずオウムに挨拶をし
「ピアノの横に連れてきてほしい」
と頼んだ。オウムもそれを知っていて、時々自分から歩いてピアノまでやって来ることもあった。
お迎えのママを待つ間、よく2人は同じテーブルで、本を読んだり絵を描いたりしていた(写真)。
なんだか全てが懐かしく、切ない気持ちになる。私には子供がいないけれど、こうして何十人という子供たちと毎週過ごさせてもらっている。
だから、私の視界の中にはいつも子供たちがいる。笑ったり一緒に悩んだりしながら、先生も成長したよ(笑)。
楽しかった思い出を胸に。さよならとこんにちは。今期は新しい子供たちが4人入り、新しいファミリーとの出会いも充実。
毎日毎日、一緒に笑う。学ぶ。感動する。解決する。達成する。そして毎回ハグをする。人生を分かち合うほど、すばらしいことがあるだろうか。
ピアニストだけしていたら、私はもっとずっと1人だった。私の人生が「舞台の上」だけでなくてよかった。
「生徒さん達と肩を並べて」過ごす毎日の中にこそ、ささやかな幸せが無数に散りばめられていたのだ。
別れがあるたびに、涙が出る。でも、悲しいからじゃない。楽しい時間をありがとう!毎週毎週、一緒に積み重ねた膨大な時間に。
「一緒に生きた」証として、私たちの間には音楽がある。たとえ遠く離れても。もう二度と会えなくても。音楽が残る。
そして。こんなにすばらしい職業につく機会を与えてくれた両親に、改めて感謝したいと思う。