この日は現代アート展「URVANITY」へ。作家のエネルギーがどくどくと伝わってくるおもしろい作品に沢山出会えた。
バリエーションが豊富で刺激的。若さや生命力を感じる作品群。実際、会場にはアーティスト達の姿も。
最初は取り憑かれたように回る。そして2回目はゆっくりと。別の角度から詳細を眺める。まるで違うものが見えてくる。心と体と頭が刺激と感動で満たされていく。
「創る」のと同じくらい「創らない」ことも大切なのだ。ピアニスト時代「弾くのと同じくらい弾かないのも大切」と感じていたのと同じように。
一人で回るから、話す相手がいない。ずっと黙っている。会場を出ても感動を伝え合う相手がいない。だから、その思いや言葉は内へと向かう。
静かに私の中に蓄積される感動。そこから芽が出る。そのうち。それはいったいどんな葉をつけ、花を咲かせるのだろう。
そんなことを思いながら、ふらりと入ったバルでグラスを傾ける。首都マドリッドの空気やリズムは、マラガの数倍も刺激的だ。
「ここに住んでいたら、どうなっていたんだろう」
マラガとは何とかもがまるで違う。規模もスピードもバリエーションも。そのかわり地中海の波の音もヤシの木も、海と空を染める夕焼けも、ここにはない。
あるものとないものが、圧倒的に違う。ベルモットのグラスを転がしながら、51歳を迎えた自分に問う。
「あと1年しか生きられなかったら、私は何をするだろう?」
大きな決断を前に、マドリッドへ来てよかったと思った。どんな時も、私は一人で決める。それが大切なことならなお。自分の心に聞いて決める。
決めるには、まず立ち止まらないと(笑)そういう意味でも貴重なマドリッド滞在になった。心と体と頭を、日常生活から解き放つ。そのなんと大切なことか。
「日常生活から離れそっと訪れる場所」
そんな空間をアートを通して作り出したい。今までにない不思議な種が私の中で育っている。