「衣がえ」と共に、タンスの奥からひっぱり出した「衣類や布地」。「いつかお直しを!」と思いながら、はや10年以上(涙)。
「あぁあ、ミシンがあったら!」
そう思っていた。Yukiさんにお直ししてもらうまでは。ミシンがないから、これ以上できないのだと。
しかし。「インド綿ブラウス」のお直しの時、自分がとんでもない思い込みをしていたことに気づかされた。まずは着てみせる。
「あら〜、かなり大きいですね」
「XLなので、小さくしたいんです」
そそくさと紙にブラウスのイラストを描き、その『二の腕から脇にかけて』ざーっと線を引く。三回りほど内側に。
私にとって「小さくする」とは、そういうことだった。それしかなかった。だが、Yukiさんは私の立ち姿を数秒見ただけで
「実は一番気になっているのは『肩が落ちている』ことなんですよね。そしてえりぐりも大きすぎる」
小首をかしげながら、ブラウスを摘んだり寄せたり。
「そうですね。首回りにはゴムを入れた方がいいかな。それから、三回りも二の腕と脇を縮めたら、たぶん腕が上がらなくなります」
青天の霹靂。あまりの驚きで数秒、突っ立っていた。そして。はっとした。
「もしミシンがあったら!」というのは、私の思い込みだったのだ。それも全く見当違いの。
だって。もしミシンがあったら、私は間違いなく「二の腕と脇」を思いっきり縮めて縫っていた。XLからMにするために。
そして。サイズは小さくなっても動きにくく、えりぐりのだらしないブラウスが完成したのにちがいない。
そう。大切なのは見た瞬間に「最善の解決法が浮かぶこと」なのだ。そして、それを支える「技術」があること。ミシンの有無ではなかったのだ。
「あぁあ、ミシンがなくてよかった」
思わず胸をなでおろす。あったら「お直し」どころか「取り返しのつかない制裁」を、次々と加えていったのにちがいない。おそるべし。
そんなわけで、毎週「お直し」に通っている。打合せがすでに楽しい。できあがって試着する時は夢心地〜。
そして。はたと思いついた。今期のコラボンアートのモチーフ。こういうデザインで、アクセサリーは作れないものかしら。
すっかり「絵を描く」ことから離れ、布地に夢中(笑)脱線の女王。お直しから創作へ?はたして。
(来週あたりに続く)