クリスティーナと久しぶりにランチ。場所は「隠れ家イタリアン」。と私たちが呼んでいるお店。外からは全く見えないが、実は奥にこんな「秘密の中庭」が!
おぉお。なんだかずっと郊外に来たみたい。お店の入口はバスも走る大通りに面している。のに、このバカンス感。木陰のテーブルにたたずみながら、まずはビールで乾杯。
「ロカ!何を作ってたの?2週間も姿を消して」
最近、クリスティーナは私のことを「ロカ」と呼ぶ(「クレイジー」の意)。
「フェリアの告知ポスターに応募してた」
「ええっ!なんで言ってくれないの」
いつも「全てが事後報告」の私は、みなさんによく叱られる。応募した後すぐ「春の発表会」で息つく暇もなかった。のだが
「メッセージの一行くらい打てるでしょ」
と言われると、その通りなので黙っている。電話一本しない私は、周りの親しい友人たちに「連絡できない症候群」と呼ばれているのだ。
「作品の写真見せて!」
アイフォーンを手渡すと、クリスティーナは「うわぁお!」とうなりながら、しばらく画面に見入っていた。全てがコラージュであることを告げると
「これ全部コラージュ!何でコラージュしたの?紙?」
そう聞いてくれるのを待っていた。
「キャンバス地。私の誕生日祝いにクリスティーナがプレゼントしてくれた、あの10メートルのロールだよ」
「ええっ・・・」
信じられない。という顔で私を見返す。その表情はもう怒ってはいなかった。ポカンとした顔に、ゆっくりと笑顔が広がる。
「ロカ・・・使ってくれたんだ」
ロカ(クレイジー)には変わりない。でも「つい許しちゃういかれたヤツ」に、格上げしてもらえそうだ(笑)。
「作ってる2日間、応募するまでの4日間はものすごい体験をしたよ」
「ドーパミンの嵐だな」
私たちは大笑いしながら、4時間ぶっとおしでアートの話をした。そして、なぜかフリーダ・カーロの話になった。私の大好きなフリーダ。強烈な彼女の生きざまに惹かれる。
「ロカ、似てるよ。本質的なところが」
それで思い出した。20年近く前、映画「フリーダ」を観たばかりというダビーが、ドイツから電話をしてきた。
「なぜだか、ももを思い出した!それを伝えたくて」
当時私はピアニストで、絵は描いていなかった。だからとても不思議な気持ちになったのを覚えている。
そして。私たちのテーブルの横を、クリスティーナの知人が偶然通りがかった。彼もアーティストなのらしい。
「こちら友人のもも。本物のロカ!」
ただのロカではない。本物なのだ。栄えあるお言葉をありがとう。