フェオーナは「象あざらし」の
群をあとにすると
浜辺に上がってきた
「漁師」にたずねました。
「わたしの鳥を
見ませんでしたか?
とても鼻の大きい鳥なんです」
「僕の魚もたいそう鼻が大きいよ」
漁師が自慢げに答えました。
「魚たちに、わたしの鳥のこと
聞いてみてもらえませんか」
「おまえたち、この女の子の
鼻の大きな鳥を
見なかったかね?」
魚たちはしばらく
顔を見合わせていましたが、
一匹の魚が口を開きました。
「沖の方で、鼻の大きいのを見たよ。連れて行ってやろうか!」
魚はフェオーナをひょいと背中に乗せると、
一目散に沖に向かって泳ぎ出しました。
「あそこだよ!」
魚は一はねすると、フェオーナを船の上に放り投げました。
フェオーナが目を開けると、そこには船の甲板で
目の前には一人の「海賊」が立っていました。
それは大きな大きな鼻をした。
「お~や、これはかわいいお客さんだ!」
「突然、ごめんなさい。わたしの鳥を見ませんでしたか?鼻がとても大きいの」
「こんなふうにかい?」
海賊はぶるるんと鼻をうごめかすと、フェオーナの手の甲に、そっとキスをしました。
「ふたり旅もわるくないな♪ ねぇ、おちびちゃん」
海賊は悪い人ではありませんでしたが、極度にロマンチックですぐに恋に落ちる人でした。
「ソイ・エナモラディソ(僕は恋に落ちる男)!」
フェオーナは海賊に頼んで、次の町まで連れて行ってもらうことにしました。
「きみの鳥はきっと見つかるよ。お宝は望んだ者のところへ現れる、ってね!」
ウインクしながら、海賊は船とともに沖に消えていきました。
「ありがとう、海賊さん・・・」
いつかまた会えるといいな、とフェオーナは思いました。
そして、初めての町に向かって、力づよく歩き出しました。
(「ベラの絵本・4」につづく)