【一日一作プロジェクト】石ペイント「空海風(そらうみかぜ)のビチョ」を作った。数年前からうちのマンション全体に「アリ」が大発生し、アリと暮らす日々が続いている。
「ぞろぞろ」「ぽつりぽつり」「どどーっ」
床やテーブルを、毎日アリがかけずり回る共存生活。けしてうれしくはないが、マンションの住人たちはすっかり慣れてしまい
「食べ残しを置いておくと大変」「ゴミ箱にフタをしないとね」
と、現状を受け入れながら生活している。それでもさすがに、床に行列を作っているのを見ると
「ひえぇーーーーーっ」
となるが、不思議なのはオウム。足もとをアリがちらほら歩いていても一向に無視。無頓着。イヤじゃないの?
そして。アリの方も。オウムなど存在しないかのように、自分たちのペースでオウムの足もとをすり抜けて歩き回っている。
「何か問題が?」
的な、オウムとアリの反応を見ていると、私一人が騒いでいるのもなんだか。実際、噛まれるわけじゃないし。エサを探して、巣に持ち帰るだけなんだから。
「にしても、その巣はどこにあるのだろう」
想像するとぞっとするので「どこかその辺」にしておこう。年や時期によって、アリの量は変わるのだが、それでも年に2、3回
「不思議な引越し風景」
を目にする。「なんだかアリが多いな」と思って床を見ると、1箇所ものすごくアリが集まっている場所があり、よーく見ると
「アリ集団のど真ん中に巨大な一匹のアリが!」
大きさは、他のアリの5倍くらい。その一匹をわいわいと囲んで大移動中なのだ。
「もしかして、女王アリ???」
さすがにつまめるくらいの大きさなので、ティッシュでつまんで、テラスへ移動。
「あなた達の女王様はテラスにいるよ」
きっと誰かが伝えてくれるに違いない。たかだか数メートルの距離なのだから。そんなわけで、外に出ることなく毎日アリを見て生活している。
大地に暮らせば、いろいろな生き物と暮らすことになる。マンションにいるとその感覚を忘れてしまい、田舎の友人宅へ行くと
「ヤモリやネズミやゴキブリ」
が走り回っているので、どきどきしてしまう。畑の野菜は野ウサギに食い散らかされ、とにかくワイルドレベルが全く違う。
「空海風(そらうみかぜ)のビチョ」
空を海を風を味方に、たくましく飛んでいくビチョ(虫)。その瞳を空色、海色、風色に染めながら。小さな命へのリスペクトを込めて。
今日の夕陽、空は生き物のようだった。