【一日一作プロジェクト】友人とテラスランチ。フォーク&ナイフの入っていた厚紙で「波夜花(なみよばな)」を作った。おとついうちの前の海岸に
「男性の死体」
が打ち上げられた。井戸端グループから、さっそく写真が送られてくる。誰かのテラスから撮影されたものらしい。
「これって。まさしくうちのマンションの前のビーチじゃないの⁉︎」
かなりショック。警察官やレスキュー隊員に囲まれ、もう動くのをやめてしまった男性の重い体が、波打際に横たわっている。
「家族にこれから知らせるんだね」「誰なんだろう」「生きていることに感謝しよう」「そうだね」
小さな不平不満は、すっとんでしまう。「死」を前に。それが身近であれば、なおのこと。私がひたすら「今日」に命を注ぎ続けるのは
「今年、読もう」「今年、弾こう」「今年、着よう」
と言っていたベラの「本と楽譜と衣類」を処分したからだ。まっさらな、まだ一度も触れられていないそれらを手に、呆然と立ち尽くし、次の瞬間決意していた。
「今年はない。今日やろう」
あの時の気持ちを、私はけして忘れない。そして。マラガの海で亡くなった男性へ、今日の「波夜花(なみよばな)」を贈りたい。
魂が迷わず海を渡り、天に還って行けますように。祈りを形に。