【一日一作プロジェクト】カリグラフィアート組画シリーズ「遊」を作った。巨大なアーチをくぐりコマレス村に入って行くと、なんとそこは
「アーチの国」
だった。小石の埋め込まれた小道に架けられた、手作り感あふれるアーチ。あっちにもこっちにも。吸い込まれるようにアーチをくぐりながら、岩山の頂上めざして坂道を登る。
手作りのゆらゆらとした壁のライン。ゴツゴツとした石畳。色のはげたオレンジの屋根瓦。その瓦から生えた草。玄関前に置かれた鉢植えの花とイス。こちらを見つめる猫・・・
「足跡のタイルが埋め込まれてるよ」
石畳の中にぽつんと一つ。私たちを誘うように。そう。この「足跡」こそ、コマレス村の案内人。少し進むとまた
「こっちにおいで」
と「足跡」が現れる。すてき〜。漆喰の白壁がとにかく私は好きなので、見ているだけでうれしい〜。表面のでこぼこ感がたまらないー。、
「あぁ、ベルディアーレス広場だって!」
なんて名前!感激のあまり、踊り出す(写真)。マラガ民族音楽&舞踏である「ベルディアーレス」には3つのスタイルがあり、その一つがここ「コマレス流」。
「ベルディアーレスの故郷に、今私は立ってるんだ!」
めちゃ感動。昨年の春、必死でステップを覚えたベルディアーレス。ロックダウンの中、先生のビデオを見ながら1人家で猛練習。あの頃はベルディアーレスばかり聴いていたなぁ。
「ラ・マロマが見えるよ!」
テヘーダ山脈の最高峰(2069m)が、広場の正面にどかーんとそびえている。遮るもののない空と、視界の果てまで続く山々。緑の大地。
「こんな中で、ベルディアーレスは生まれ育ったんだな」
なんだか胸が熱くなる。きっと夏には、この広場で『ベルディアーレス祭』が行われるにちがいない。この空と山と大地に見つめられながら、歌い、踊り、演奏する。
「感謝の捧げもの」
という気がした。歌も踊りも音楽も。アートの源泉。自然に抱かれて暮らすのはすばらしいけれど、コマレス村は「岩山」の頂上にあり「岩と共存する暮らし」が求められる。
「おうちの庭に大石がごろごろ」
すごい光景(写真)。土地の形を活かしての家作り。ふつうなら「どけよう」とする。「岩は邪魔もの」。それで思い出す。父の住む実家の庭に、ごろごろと置かれた大石。
「邪魔」「処分」「移動」「石をどかしてスペースを作りたい」
と騒ぎ立てる私をよく知るハビ吉は
「よくこの家々を見て研究しろ。アイデアを拾え」
などと言ってくる。確かによく見てみると、みなさん家の一部として、セメントや漆喰を使って上手に調和させている。邪魔どころかすてきな空間に。
「石とセメントを合体させて公園風にする手も」「漆喰を塗ってペイントしよう!」
天の啓示(笑)。よしっ。実家の石たちは、アートに変身させることにしよう。これもアトリエから出たおかげ。新しい場所に行けば、新しい出会いやアイデアが。
「テラスでビールにしよう!」「乾杯〜」
絶好の散策日和。ハビ吉はTシャツに(笑)。なんと18度。マドリッドにはまだ大量の雪が残っているというのに。日差しを浴びながらのビールは格別!
「こんなに美しい村、もっと観光客が来てもいいよね」「あと10時間で、出入りできなくなるんだから仕方ないよ」
聞けば「古城跡からの眺めがすばらしい」とのこと。さっそく行ってみることに。
「『遊』びながら学ぶ」
それが私の基本。わくわくしている時って、すごく吸収率がいい。どんどんひらめきが降りてくる。ベルディアーレスの故郷、コマレス村レポートは、明日に続く。