【一日一作プロジェクト】カリグラフィアート組画用の「文字パーツ」を作った。コマレス村レポート3。「古城跡」めざして坂道を登る。
「おお〜っ、村の全景が!」
白い村がその美しい姿を浮かび上がらせた。思わずため息。まるで
「見つめられる」
ために作られたような白い村。石畳、階段、遊歩道を上がって行くと、息を飲む絶景が私たちを出迎えてくれた。
「おお〜」「自然の要塞都市だね」
コマレス村は、隆起した岩山の頂上にぽつんと置かれた白い冠。だから視線は、はるか地平線の彼方へと飛ぶ。山々の稜線と緑の大地に囲まれた天空の村。
「なんという距離感」
この村に住む人々は、毎日こんな地平線まで広がる山々や大地、遮るもののない大空を見つめて暮らしているのだ。
「これが日常の風景」
であることに驚かされる。地形や環境が、人の性質や考え方に与える影響は大きい。なんだか無性に、絵が描きたくなってきた。
「マラガの白い村たちへのラブレターを!」
帰ったら、すぐに描こう。床にキャンバス地をがばっと広げて。今のこの思いを色と形に!そうと決めたら、とたんにお腹がすいてきた。
「ねぇ。この村にレストランあるのかなぁ」
なにしろ村中を歩き回っても、誰にも会わない。写真を撮っても、人影がまるでない。通りはしーんと静まりかえっている。
「いったい村人たちはどこへ行ってしまったのか?」
ってなくらい。コロナ規制で家の中にいるのかしら。ハビ吉がスマホで「コマレスのレストラン」を検索。なんとか2軒発見。行ってみることに。
「こんにちは。ランチできますか?」
素朴な村のレストラン。テーブルが5つだけの。1人でお店を仕切るお姉さんが、笑顔で迎えてくれた。聞けばコロナ規制で営業時間がコロコロ変わり、観光客もなく
「その日あるメニューを口頭で伝える」
スタイルに落ち着いた。らしい。「作っても売れないから」と、お姉さんはそっと長いまつ毛を伏せた。その時、目の前を湯気を立てて通っていくスープが・・・
「あれが食べたい!一つお願いします」
お姉さんとお客さんが「ふふふっ」と笑う。さっそく熱々のスープでスタート。ミガス、チョリソー、豚肉・・・次々とたいらげる。至福の時。
「こんなに喜んで食べてもらえるなんて」
お姉さんの笑顔が、私たちを幸せな気持ちにした。その瞬間、心の中に風が立ち「愛おしさ」が流れ込んできた。初めて来たのに、ここがとても大切な場所になった。
「お姉さんに幸せでいてほしい」「なんとか生き抜いてレストランを続けてほしい」
なくなってしまったら悲しい、かけがえのないもの。が、私たちにはたくさんある。今度いつ行けるのかもわからないけれど
「存在していることを強く願う」「祈る」
気持ちが、星のように私の中に生まれた。コマレスよ、ムーチャス・グラシアス!ひらめきと愛おしさで、私をいっぱいにしてくれて。
そして最後に。ハビ吉、いつも冒険を分かち合ってくれてありがとう。アトリエから私を引きずり出してくれて(笑)。
今日からマラガは「市内から出られない・入れない」新しい発令が出された。規制はどんどん厳しくなる。日本のみなさまも大変かと思います。どうぞお体を大切にしてお過ごしください。