手続き問題・15

【一日一作プロジェクト】2022年の作品群を紹介中。「手続き問題・15」。厚生労働省機関(検疫所)から朗報メールが届く。

「スペインから日本への鳥の輸出入できるようになりました」

ついに扉は開かれた。さっそく「スペイン作戦」を始動。動物輸出入業者と打合せをし、最初の難関である「輸出許可証」の申請をスタート。発行されるまで

「平均3ヶ月、遅いと半年」

というあいまいさ。とはいえ、相手はスペイン政府(ワシントン条約・サイテス室)。それもココは「野生種」「絶滅危惧種カテゴリー1」なので、

「お前が輸出入させようとしているのは、ゴリラやキリンと同じなのだ。黙って待っておれ」

みたいな感じ。なのだろう。ペットの犬や猫(マスコット)とはわけが違う、って言われても。私にとっては「家族」なだけ。勝手にカテゴリー決めるなや。

「輸出許可証を待つ間に、再び日本の国境が閉まらないことを祈りましょう」

動物輸出用業者のMさんが天を仰ぐ。これからは時間との闘い。また鳥インフルエンザが発生したら、再び国境が閉まり、スペインから出られなくなってしまう。とりあえず申請はしたのだ。あとは祈りながら、ひたすら待つしかない。

「ココ、許可証があればスペインから飛行機に乗れるんだよ」「ひゅ〜いっ」

ごきげんで大好きなスイカにかぶりつく姿を見ていると、なんとしても守らねばと力が湧いてくる。私と一緒にいるために、全てに「ノー」を突きつけ、たった1人で闘ったのだ。私が迎えに来てくれると信じて。

「だったら、私も賭けるぜ〜」

この子には、私しかいないのだ。手続き問題を始めて3ヶ月。あっという間にマラガは夏に。フランス、ポルトガルと回り道もしたけれど、ようやく本戦はスペインで。政府機関が相手なので一筋縄ではいかないけれど、

「ここには闘えるインフラがある」

読める、書ける、話せる。電話ができる。細かなコミュニケーションがとれる。訴えたり懇願したり、心から感謝することも。スペインにいてスペイン語を話す時、私は自信に満ちている。何より

「ここには友達がいる」

すぐに手を貸してくれる、私のために動いてくれる友が。その安心感。ポテンシャル感。やっと毎日ぐっすり眠れるようになった。その一方で、住居問題が。実はあと2ヶ月で

「ハビ吉のマンションを出なくてはならない」

次の長期契約が決まっており、もともと5ヶ月の予定で入居。またしても、全ての荷物を持って大移動か〜。流浪の民はつらいのう。ココと暮らせるよう

「オウムと一緒に暮らせるマンション」

を探していたけれど、とにかくこの数年のマラガの家賃の上昇はすさまじく、2LDKで10万円(600ユーロ)から、ってどんなん!ワンルームマンションを探すも、マラガはファミリータイプが主流。数そのものが少ない。そこで1番現実的なのが、

「部屋をシェアする」

なのだけど、オウムを許可してくれるオーナーはほとんどいない。引越しするマンションも見つからず時間だけが過ぎていく。いったいどうなるのか〜と思っていると、早朝から勢いよく電話が鳴る。

「輸出許可証が発行されたよ!最短の1ヶ月で」「ええっ」

動物輸出入業者のMさんが、電話の向こうで叫んでいる。こんなことはまれだと。まさか、こんなに早く発行してもらえるとは。スペイン政府よ、ムーチャス・グラシアス!

「あとは衛生証明書だけ」

ほっと安堵したスペインチーム。その時、私たちはまだ知らなかった。この、まるで問題視していなかった「衛生証明書」。ここから、私たちの運命は大きく暗転し、実に真の問題はここから始まるのだということを。(明日に続く)

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