【一日一作プロジェクト】「大画2024」を制作中。「手続き問題・28」。「輸出許可証」の更新で、
「ふりだしに戻る」
まさか1からやり直しとは。しばしショックで立ち尽くす。絶滅危惧種とはいえ、書類的には一度通っている。問題なしと確認されたのだから、あとは日付を変えるだけ。せいぜい2、3週間で更新されると思っていた。
「省(政府機関)相手だと、時間の感覚がおかしくなる」
この世とは、まるで違うスピード。私たちは同じ世界に本当にいるのか。「輸出許可証」が1日も早く発行されることを祈っていると、マドリードの日本大使館からメールが届く。
「ココちゃん、かわいいです。なんとかしてあげたいです」
と言ってくれた、あの女性職員の方。私が無念の日本帰国をした後も、日本およびスペイン政府機関と連絡を取り、進捗状況を確認してくれていたのだ(涙)。
「私たちのことを、心にとめていてくれている人がいる」
それだけで、むくむくと闘志が湧いてくる。「輸出許可証」が切れたくらいなんだ。取れないわけじゃない。運がよければ、3ヶ月以内にゲットできる。最大の難関は「衛生証明書」の方なのだ。意気揚々とメールを読み進める。と・・・
「『衛生証明書』の新しい書式が決定されつつあるようです。連絡を取ってみてください。すぐ動けるように準備を!」
えええっ!!!はぁあっ???今?2023年の6月から返事を待ち続けて、ゴーサインを今出す?輸出許可証が切れた今⁉︎あまりのタイミングに呆然。とはいえ、落ち込んでいるひまはない。
「『衛生証明書』の新しい書式が、2国間協議で決まったとのことですが」
すぐにスペイン政府、日本政府、およびスペインの動物輸出入業者に確認。結果から言うと、ペット用の新しい衛生証明書を作る、のではなく、
「従来の衛生証明書でペットも使えるようにする」
って、はぁあっ⁉︎?だったら、最初からそうしてくれよ〜。この半年は何だったんだ。新しい書式を半年待たされている間に「輸出許可証」は切れてしまったのだ(有効期限6ヶ月)。
「なんとしても『輸出許可証』を、最速で発行してもらわねば」
動物輸出入業者に「なんとか1日でも早く発行してもらえるよう」政府機関に押してもらいたい旨を伝える。が、数日後の返事は、
「前向きに検討します」
そうじゃなくって。なんという無駄な時間!こうして「輸出許可証」を待つ間にも、鳥インフルエンザで次々と国境が閉じられつつあるのだ。現に、2023年には開いていた
「フランス国境が閉じられ」
パリから日本へ帰る道は断たれた。スペインから日本への直通便(鳥を乗せてくれる航空会社)がない限り、どうしてもどこかの国を経由しなくてはならない。経由地の絶対条件は、鳥インフルエンザが発生していないこと。
「これは、時間との戦いなのだ」
次々と国境が閉鎖される中、ヨーロッパで唯一、日本への国境が開いているのが、スペイン、ポルトガル。ベルギー・ハンガリーの一部の州。鳥インフルエンザ発生地に指定されると、
「スペインからココを持ち出せなくなってしまう」
早く「輸出許可証」を出してくれ!ただの更新じゃないか。書類の日付を変えるだけ。それに3ヶ月?半年?ふざけんな。関係者からは「祈るしかない」って言われても。何もせずに待っていることなんて、私にはできない。
「自分にできることがあるはずだ」
今の私にできることが。そこに集中しよう。どうしたら、1日も早く「輸出許可証」を発行してもらえるのか。数時間後、私は書き出していた。絶滅危惧種の輸出許可証を発行するスペイン唯一の機関、Citesの事務所へ。
「手紙を書こう。こうなったら直談判」
間に入っている業者やマラガの機関をすっ飛ばすのは好きではない。が、彼らができないなら、私がやるしかないではないか。私にはトライする権利がある。
「これは、私の家族の命の問題なのだ」
悲しみと怒りを、情熱にかえて。長い長い手紙を書き始めた。(明日に続く)