手続き問題30

【一日一作プロジェクト】「文字パーツ」を作った。「手続き問題・30」。絶滅危惧種の輸出許可証を発行するスペイン唯一の機関「Cites」から、わずか1週間で返事が届く。

「申請番号を教えてください。大至急、確認してみます」

短文ではあったけれど、明らかに私の手紙を読んでくれたこと、心を動かしてくれたことが、はっきりと伝わってきた。実は、手紙と一緒にココと私の写真を数枚送っていた。

「どうか私たちを引き離さないでください」

1枚の書類の裏には、ひとつの家族、再会への闘い、命の物語がある。「私たちは存在する!」それを伝えたかった。感じてほしかった。家族の結びつきが強いスペイン社会。もしかしたら誰かの心に届くかも。心を動かすことができるかも。その一念で、

「間にいる業者や機関を全てすっ飛ばして」

個人的手段に出た。たとえダメでも、自分にできることを全てやって撃沈。玉砕。それが、ももきみどり。自分の生き方を貫きたい。

「3月中旬にマラガに着きます。それから一気に手続きを進めたいと思います」

スペイン関係者各位にメールで連絡。とはいえ、私が乗り込むマラガは、セマナ・サンタ(聖週間)のまっただ中。クリスマスと並んで最も大切な、宗教的行事で、町は1週間バケーション状態。

「何も機能しなくなってしまう」

多くのお店やオフィスは閉まり、旧市街は通行止めになり、バスも時刻や路線の変更が相次ぎ、マラガ市内は人ごみで溢れ返り・・・そんなマラガに乗り込んで、

「手続き問題を再開」

狂気の沙汰。だと自分でも思う。しかし、今回は「一気にたたみかける」と決めたのだ。「輸出許可証」が出たら、押しの一手。ノンストップ。セマナ・サンタのパレード、催しは全てパス。マラガ到着翌日には、

「動物輸出入業者と打合せ」「動物病院の先生と打合せ(ココとの再会)」

が待っている。資料は全てファイルにし、重要な書類は全てショルダーバッグに。身につけて移動。これを失くしたら、それこそ詰む。スーツケースの準備をしていると、再び「Cites」よりメールが。えっ、こんなに早く?

「お待たせしました。『輸出許可証』の発行準備が整いました。あと1、2週間でお届けできると思います。お役に立てればうれしいです」

あぁあ〜〜〜〜〜〜〜〜(涙)。信じて、動いて(←勝手に)本当によかった。ついに扉は開いた。こじ開けた。これで手続きが再開できる。さっそく動物輸出入業者へ連絡すると、

「えええっ!!!」

と、言葉を失っていた。そうであろう。その道のプロなのだから(そのためにお金も払っている)。ロカ(クレイジー)は、プロを上回るのだ〜。それと同時に、

「スペイン語ができてよかった」

と、つくづく思う。私たちの置かれている状況、ここまでの長い道のり、そして、1枚の輸出許可証が私たちの運命を握っていること。それらを、自分の言葉で、相手に伝えることができる。

「言語とは、可能性なのだ」

心と心を結ぶ架け橋。闘いのステージが、スペインで本当によかった。これがフランスやポルトガルだったら、こうはいかない。そしてたぶん。これはスペイン人だったから。という気がする。

「黒と白ではない。どんな時にもグレーゾーンがある」

スペイン。999人がノーでも、1人がグレーゾーンに導いて、解決に至る可能性。窓口で誰に当たるかで、扉が開く可能性が、ある。よくも悪くも、人間的で個人的。マニュアルより個人の判断。ロボットにはならないラテン民族の尊い魂。そして、何より

「なんとかしてやりたい」

と感じ、実際に動いてくれた方々がいてくれたからこそ。感謝(合掌)。どこの部署だって、一枚岩ではない。心ある人は、必ずいる。たとえ100人に1人でも。たかが書類1枚。しかし、私たちには大きな一歩。

「この運に乗る!」

希望と覚悟を胸に、スペインへ。2024年3月。いよいよ手続き問題、最終章。マラガを舞台に、ついに最終戦の幕が切って落とされた。(明日に続く)

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