手続き問題31・命パーツ

【一日一作プロジェクト】「命パーツ」を作った。「手続き問題・31」。マラガに着いた翌日。朝1番で、動物輸出入業者と打合せ。

「輸出許可証が届いたよ〜!」

Mさんが力強いハグで私を迎えてくれる。なんと国際移動中に「輸出許可証」が発行されていたのだ。スタッフのみなさんと喜びのハグを交わしあう。目の前に、1枚の書類が差し出される。

「あなたが自分の手でもぎ取った許可証です」

この、ぴらぴらの黄色い紙が〜(涙)。あとは「衛生証明書」だけ。すぐにゲットといきたいところなのだが、実はここで、もうひとつ問題が。

「政府の定める施設で、21日間以上の隔離」

が必要。蚊が入らないよう措置されたケージの中、ココは21日間以上の隔離生活を送らねばならない。これが完了して初めて「衛生証明書」の発行となる。

「その場所は?どこに?」

マラガにあるのかと思っていたら、なんと。スペイン国内に、6カ所しかないとな。はぁっ?そんなに少ないの⁉︎それも、隔離する施設(場所)は政府が命令すると言う。ひぇ〜。なんなん。

「どこに飛ばされるかわからないの?」「北スペインとか、離島になったらどうしよう?」

ここに来て、また移動⁉︎ココを連れて、行ける場所ならいいけど、駅から遠く離れた田舎だったら?飛行機に乗らないと行けない場所だったら?頭がくらくらしてくる。

「なんでアンダルシア地方(マラガを含む南スペイン)にひとつもないんだ⁉︎」

理解できない。施設リストを見ると、マラガから1番近い施設はマドリード。特急AVEで2時間半。そこからさらに1時間の移動。それでも、そこが最短なのだ。

「どうかマドリードにしてくれますように」

心の中で祈る。距離だけでなく、私がマドリードを希望する理由は、もう一つある。「衛生証明書」が発行された場合、日本行きの飛行機に乗せるためには、

「隔離施設から最寄りの空港へ」「直接、車で」

連れて行かねばならない。基本的に外界との接触は禁止。マドリードの施設で隔離をしたら、マドリード空港へ。直接車で。北スペインや離島の空港では困るのだ。もちろんマラガ空港が、私たちには1番いい。

「マラガの動物病院を、隔離施設として使えないか交渉してみます」

動物輸出入業者のMさんが、力強く立ち上がる。頼むぞ〜。なんせ相手はスペイン政府。簡単にOKが出るとは思わない。それでも「マラガで21日間以上の隔離」が許可されれば、移動する必要がない上、

「マラガ空港が使える」

やるっきゃないやろ〜。Mさんいわく、ここまで半年間、動物病院に隔離されていたこと。ドクターのもと、健康チェックが行われていたことなど、

「交渉材料は十分にある」「可能性は2、3割」

とのこと。がんばれ〜。頼むぞー。何より、セマナ・サンタ(聖週間)も休日返上で営業してくれるとのこと。頼りになる。「お願いします」と頭を下げ続ける私に、Mさんは笑いながら、

「NOをSI(イエス)にすることを教えてくれたのは、ももだよ」

本当なら、間をすっ飛ばして直接交渉など、してほしくなかったろうに。メールやメッセージを毎日、毎週、送られ続けて、うるさかっただろうに。そんなことは何ひとつ言わず、

「なんとしてもココを日本へ!」

すでに、合言葉。スタッフのみなさんとしっかりハグをして、オフィスを後にする。そして。その足でA先生の待つ動物病院へ。ココとの再会が待っている。

「私たちは、会いたい人がいるから帰る」

引き寄せられるように。国を越え、大陸を越え。それがどんなに大変でも。ただ「再会する」ために。

「私たちの人生の羅針盤は、愛なのだ」

半年前、涙で後にしたクリニックのドアの前に、再び私は立っていた。あの別れの、ゾッとするような悲しみと絶望感が、全身によみがえる。2度と、もう2度と、ココを置き去りにするのはごめんだ。

燃えるような情熱、覚悟を胸に、私は笑顔でドアを開けた。(明日に続く)

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