手続き問題32・命パーツ

【一日一作プロジェクト】コラージュ用の「命パーツ」作った。「手続き問題・32」。動物病院のドアを開けると、先生とココが同時にこちらに顔を向けた。

「ドクターA!」「よく来たね。ココがお待ちかねだよ」「ひゅい〜〜〜っ」

半年ぶりの再会。すぐにケージにへばりつく。「ココ、ココ!」名前を呼ぶと、頭をすりつけてくる。見た感じ、変わりなし。A先生に大切にされていたのだろう。まずは、元気そうなのにほっ。

「クリニックを閉めるから、ケージを開けていいよ」

突如「準備中」に。先生は内側からドアに鍵をかけると「2人でゆっくりしていいよ〜」と、私たちのプライベートタイム&スペースを作り出してくれた。

「ココ、よくがんばったね」「ぷぷぷっ」

その顔は「あったりまえじゃん」と言っていた。ココはけして弱みを見せない。怒ることはあっても、悲しんだり甘えたりすり寄ったりするのが苦手なのだ。

「おいで」

そっと鳥かごのドアを開ける。ココは止まり木にとまったまま動こうとしない。あまりに長く入れられていたために、外に出ることを忘れてしまった?

「ひゅいっ?」

ゆっくりとケージから頭を出す。「出てもいいの?」「ごめんね。こんな思いをさせて」。しばらく一緒におもちゃで遊んでいると、いつもの好奇心いっぱいの表情にすっかり戻った。

「まるで、日常が戻ってきた」

ような錯覚におちいる。でも。これはつかの間。「お母さんが迎えに来てくれた」と喜ぶココを、再び置いていかねばならない。クリニックに。鳥かごの中に。

「輸出許可証が発行されたこと」「21日間の隔離をマラガで、それもA先生のクリニックで」

できるよう交渉中であることを伝える。A先生は「ここまで来たらなんでもやるよ」と、頼もしい返事。思えば、最初のスタート地点から、本来なら必要ない書類の制作まで、全てに手を貸してくれた。

「ココは人気者だったよ〜」

聞けば、クリニックを訪れる人みんなに声をかけられ、遊んでもらっていたらしい。中でも、Tさん(5、6羽のオウムを家で放し飼いにして飼っている男性)は、長い間ケージの中にいるココをかわいそうに思い、用事もないのにクリニックを訪れ、

「ケージのそばにイスを置いて、1時間も2時間もココに話しかけて遊んでいてあげたんだよ」

そんな方が〜(涙)。ココもTさんには心を許し、頭をなでなでしてもらっていたらしい。そして。万が一、手続きに再び問題が起こり、日本に連れて行けない場合、

「ココを預かることも、世話することもできるから伝えて」

と申し出てくれたとのこと。Tさんのオウムたちは全てA先生のお世話になっており、長いつきあいらしい。オウムが結ぶ縁。Tさんって、どんな人なんだろう。

「ココの健康状態は大丈夫ですよね?」「健康優良児だよ。20歳を越えて、こんなに羽のきれいなオウムは見たことがない。元気すぎて、2回ほど鳥かごから脱走したよ〜」

えええっ⁉︎聞けば、エサ皿を出し入れする場所から、抜け出ることを覚えたらしい。こんな華麗な脱出劇をくり広げたオウムはかつてなく「どうやって出られたのか?」半日ぐらいドクターは頭を悩ませていたらしい。

「とにかく集中力、継続力、観察力。けしてあきらめない、突き進むパワーがハンパないよ」

その結果が、鳥かご脱走であり、止まり木の破壊であり(笑)。おおらかでユーモアのあるドクターに感謝。3日後に、おもちゃを持って再びクリニックを訪れることに。

「また来るからね」「ひゅ〜い」

ココも落ち着いた表情。ひとまずよかった〜。帰り道、さっそくおもちゃを作るための、材料を仕込む。マラガの町は、セマナサンタで大にぎわい。その横を、早足で通り過ぎる。今の私には、パレードでにぎわう人々が

「別世界に思える」

あるいは、自分の方が異次元にいるのか。バスに乗り込むと、急に眠気が襲ってきた。思えばここまでノンストップ。気を張っているから飛び回れるが、心身の疲労はマックスに達していた。(明日に続く)

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