【一日一作プロジェクト】「命パーツ」を作った。「手続き問題・35」。マラガの動物病院で、ココの隔離が始まった。
「最低21日間以上」
A先生のクリニックなので安心。何より移動する必要がないのがうれしい。ココにとっては「日常」。ストレス最小限。特別措置を取ってくれたスペイン政府に感謝。とはいえ、隔離状態を確認するため、
「スペイン政府機関から職員(獣医)がチェックにやって来る」
ここで絶対にミスできないので、蚊帳を用意したり、書類を準備したり。もちろんココにも元気でいてもらわねば。
「大丈夫。打合せはこちらに任せて」
頼もしいA先生。スペイン政府との打合せはA先生にお任せし、私は動物輸出入業者のMさんと、ココを乗せるための輸送便の打合せ。手続きの都合上、
「オーナー(私)が先に日本入国している必要がある」
ので「貨物」としてココを別送。「鳥インフルエンザ発生地でなく」「マラガ発で日本へ乗り入れていて」「鳥の搭乗を許可してくれる航空会社」という条件を満たす、カタールとサウジアラビに打診すると、まずカタール航空から返事が。
「全て問題なし。マラガからカタール、カタールから日本への便をすぐに予約できます」
やったーーー!飛行機の中には、動物を輸送するための特別なスペースがあり、空きさえあればいつでもOKとのこと(要予約)。さらに、経由先であるカタール空港内の動物検疫所からも
「書類確認しました。全てOK」
との返事が。おぉお〜。やっと「進んでいる」実感が。ここまで「ノー」の100本ノックだったので、なんだか夢のよう。ただただ感謝。すると、A先生からも連絡が。
「スペイン政府からOKをもらえたよ。今日から21日間の隔離がスタートしたからね」
おぉお(涙)。こんな日もあるのだ。何ヶ月もの間「NO」しか聞くことがなかったのに。全てが「SI(イエス)」だなんて。ここからは、A先生とMさんがタッグを組んで、進めてもらうことに。なんせ私は、
「ココを置いて、見切り発車で日本帰国しなくてはならない」
MさんとA先生にココを託し、全ての手続きを任せ。なんとしても、カタール行きの飛行機にココを乗せてもらわねば。手続きが完了する前にスペインを発つ不安はあるが、もし問題があれば、
「またスペインにトンボ帰りすればいい」
飛行機はどれだけでも出ている。もうそれくらい何でもなくなっている。2年に渡る「ノー」の100本ノックで、私には「可能性」しか見えなくなっている。人生で大切なのは、
「可能性があること」
それが大変かどうかは二の次、三の次。今はただ、目の前のことに集中。前進あるのみ。Mさんより、次のプロセスの説明を受ける。21日間以上の隔離が完了したら、
「スペイン政府の職員(獣医)が再びクリニックへ」
ここが重要で、この方の判断次第で「イエス・ノー・やり直し」が言い渡される。運よく(運としか思えないこと多し)OKが出たら、いよいよ「衛生証明書」の発行へ。Mさんいわく、
「衛生証明書が発行されたら、すぐにスペインを出国しなくてはなりません」
まったく知らなかったが「衛生証明書の有効期限は10日間」とのこと。ええっ、そうなの⁉︎短いすぎん?たった10日の間にスペインから出国し、経由地で1泊し、日本入国まで完了しなくてはいけないの?
「ストとかあったら?」「台風とか?」「戦争とか?」
せめて2、3週間にしてほしい。「有効期限が切れたら衛生証明書は無効。また最初からやり直し」って、厳しすぎやろ〜〜〜(涙)。ほんと容赦ないな。
こちらは半年待たされても文句ひとつ言えないのに、あちら様はどんどん条件を「絶対」「一択」で押し付けてくる(←としか、思えない)。そして今、今私たちの共通の思いは、
「鳥インフルエンザが発生しませんように!」
もし、マラガ出発の日に、スペインが鳥インフルエンザ発生国に指定されたら、全ては水の泡と化す。日本の国境は閉ざされ、
「ココをスペインから連れ出すことはできなくなる」
さらに。無事スペインを出国できても、カタール経由中にカタールが鳥インフルエンザ発生国に指定されたら、ココはカタールから出られなくなる。
「そのリスクだけは承知してください」
って、どんなリスクや〜。めちゃくちゃやろ。承知するしかないんかー。怖すぎや。でも、たとえ高リスクでも、とんでもない条件でも、飲むしかない。その道しか、私たちには残されていないのだ。
「一刻も早くスペインから出国する」
これは、時間との闘いなのだ。Mさんが、衛生証明書の発行を1ヶ月後と予想して、
「見切り発車ですが、1ヶ月後の便を予約したいと思います」
これにより、私の日本帰国も2週間後に決まる。あわててチケットを購入。ココより先に日本入国し、受け入れの手続きを始めなくては。もう、私にできるのは祈ることだけ。
「トド・サルドラ・ビエン」
行きつけバルのテーブルクロスに、ボールペンで書きつける(写真)。「全てうまくいきますように」。私たちの祈りが、どうか通じますように。
雨の中、マンションへ帰宅。長きに渡る緊張感と疲労、マラガには珍しい寒さで、私は久しぶりに38度の高熱で寝込んでしまった。(明日に続く)