手続き37・日本帰国

【一日一作プロジェクト】コラージュ用の「命パーツ」を作った。「手続き問題・37」。半年に渡る手続き100本ノックの末、

「ついに日本帰国」

飛行機の窓から、富士山を見下ろす。思わず両手を合わせてしまう。どうか私たちをお守りください。最終章は、日本とスペインで同時進行。まずは、羽田空港で手続きをすませ、

「必要書類をゲット」

第一関門突破。税関のハンコをもらい、小さな紙切れを大切にパスポートにはさみむ。このたった1枚の書類が、私たちの運命を握っている。もし失くしでもしたら、ココを空港で受け取ることができない。

「再発行はできないので絶対なくさないように」

恐ろしすぎ。ひったくりに遭う可能性だって、0ではないのだ。東京から新幹線で豊橋へ。さっき天から見下ろした富士山が、今度は窓の外に浮かび上がっている。再び手を合わせて祈る。

「全てうまくいきますように」

なんというか、このまますんなりいくとはとても思えない。ここまで政府関係には、何十回と「ノー」を突きつけられてきた。胸の奥にざわざわと広がる101回目の「ノー」。ここまでの進行、展開を見ても、

「針の穴を通る」

ような困難さ、要求度なので、どのプロセスで「ノー」が出てもおかしくない。私はもともと楽観的な性格なのだけど「獣的な直感」が備わっており、

「なんとなくいやな感じ」

を感じる時があるのだ。内なるアンテナは「これで終わりではない。まだまだ嵐が来るぞ」と、警報を鳴らす。その予感はいったん胸の奥にしまい、

「お父さん、ただいま!」「おかえり〜。長旅で疲れたろう」

豊橋の実家に無事到着。まずは父と再会を祝って乾杯。これまでのいきさつ、現状を報告。ココが日本帰国できるかもと聞いて、父は

「鳥かごを買って」

おいてくれた。それも、日本製ステンレスのしっかりしたケージ。こういうのは本当に高いのだ。これまで20年間、写真でしか見たことのないココがついに日本上陸間近⁉︎となり、

「鳥の病院も探しておかないと」「食事は何を食べるのかな」「ココは引き出しが大好きなんだよね。どこで買おうか?」「ココの部屋はここでいい?」「扇風機を買ってあげないと」

全てに協力的な父。その姿を見ながら、ふと私が生まれて来ることになった時も、こんなふうに楽しみにして、あれこれ準備をしてくれたのかな。と、思った。

「これからは3人家族だよ〜」

うれしそうに笑う父。その横顔が、56年前のまだ若い父の姿と重なった。きっと56年前も、父はそう言ったのだ。こんな表情で。私は愛され、望まれ、生まれてきた。だからどんなに大変でも、前進あるのみ。全力投球。

「何があってもやり抜く!」

さて。1ヶ月後。ついにココの「隔離」が終了。「衛生証明書」の発行を許可してもらうため、スペイン政府の職員(獣医)がA先生のクリニックを訪れる。と・・・

「あれ、Aかよー。久しぶりだなぁ」「えっ、おまえ、政府獣医官になってたの⁉︎」

なんと獣医学校に通っていた頃の同級生だったらしい(笑)。めちゃ昔話に花が咲いたとのこと。もちろんココの「衛生証明書」も無事発行が決まる。

「小さな幸運が積み重なって」

不思議な展開をみせていく、ココの人生。私は、マラガのバスの中で編み編みしていた女性からもらった「ピンクのハート」をお守りに。いつもバッグにしのばせて握りしめている。そして。ついに。

「衛生証明書が発行されました!!!」

動物輸出入業者のMさんから連絡が入る。おぉお、ついにこの日が〜(涙涙涙)。スペイン側の書類は、これで全てそろった。感無量。あとは、日本政府に衛生証明書の内容を確認するだけ。これが通れば、

「ココを飛行機に乗せることができる」

そして。まさに。ここで。私のイヤな直感は当たるのだった。(明日に続く)

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