手続き問題39

【一日一作プロジェクト】「大画2024」を制作中。「手続き問題・39」。最後までドタバタしたけれど、全ての手続きが終了し、

「ついにココを飛行機に乗せる日が」

やってきた。まず、動物輸出入業者のMさんチームが、A先生のクリニックへ。ここで、ココを輸送用のケージに入れ替え、そのまま車でマラガ空港へ。

出発約4時間前に、マラガ空港で動物貨物の手続き。「衛生証明書」「輸出許可証」「健康手帳」「オーナーデータ」など全ての書類が、ファイルに入れられケージに貼り付けられる。

「こんな感じで進んでます」

Mさんが、こまめに写真や動画を送ってくれる。プロのビジネスパートナーがいるのは、本当に心強い。1人では、物理的にも肉体的にも、日本とスペインの両方の手続きをするのは無理だった。

「ココちゃん、元気です。とても落ち着いてます」

送られて来た動画をみると、あれまぁ。なんだかごきげんで「ひゅいっ」「ぷぷっ」とうれしそう。バケーションに行くんじゃないんだよ〜。新しい手作りケージも気に入ったようす。Mさんいわく

「たぶんお母さんに会える、って知ってるんじゃないかな」

無事にマラガを出発。いよいよココの長い旅が始まる。生まれて初めての国際移動。ここからはもう、A先生もMさんもいない。何が起こっても、

「助けてくれる人はいない」

ココはただの「動物貨物」でしか、ない。「どうか無事に日本に到着しますように」「私たちをお守りください」。ひたすら無事を祈る。カタールへ到着するまで、できることは何もないので、

「窓や扉につける網カーテン」

を手作り。マラガのマンションでも取り付けていたけれど、ココが飛んで出て行ってしまわないよう、網戸や扉の手前にぶら下げるのだ。午後から豊橋駅へ。

「東京までの新幹線のチケットを購入」

帰りはココを連れて。なので指定席。行きは1人で帰りは2人の旅が、ようやく実現する。それでも、心のどこかに広がる暗雲。私の直感は、かなり当たる。家に帰り、再び網カーテンを取り付けていると、固定電話が鳴った。

「えっ⁉︎あの、はっ⁉︎えーと、娘に変わります!」

あたふたと父が飛んでくる。「誰かわからない。けど、英語で話してる」。不吉な予感に襲われつつ、受話器を奪い取る。

「オウムのオーナーのももきみどりさんですか?」「はい、私です」「こちらカタール空港です。あなたのオウムを保管しています」

必死で聞き取ろうとするも、なんせ英語のヒアリング力がない。なんとか「メールで送ってもらえないか」お願いする。文章なら、読むことも翻訳することもできる。何より内容をまちがいなく確認でき、証拠として残る。

「悪いニュース」

であることは、確実だろう。でも、何が?書類は全て問題ないはず。だったら何が?事情がまるで理解できない父は、顔色を変えて突っ立っている。しばらくすると、カタール空港からメールが届いた。

「あなたのオウムは、カタール空港に無事到着しました。しかしながら、乗り継ぎ便である『カタール発羽田空港着のJAL便』に搭乗拒否されました。従って、こちらで保管しています」

はぁあっ!!!???搭乗拒否って???なんなん!!!一気に血圧が上がり、心臓はばくばく。頭はくらくら。息ははぁはぁ。なんとか心を落ち着かせ、英語でメールを書き始める。私の知りたいのはただひとつ。

「で?私のオウムはどうなるんだ?」

どうしたら飛行機に乗せてもらえるのか。どうやったら日本に連れて来られるのか。私がこれからカタールに飛んで手続きをするのか。最悪のケースが頭をよぎる。

「カタールから鳥を乗せてくれる日本行きの飛行機がなかったら?」

そこで、詰むんじゃないのか?ココはカタールから出られない?せっかく全ての書類がそろったというのに。最後の最後で、まさかの搭乗拒否。それも、はるか遠くカタールの地で。いったいココはどうなるのか。

「これからカタールへ行くかもしれん」

すわった目で、父に告げる。今度はMさんも、A先生もいない。現地の動物輸出入業者を見つけて、協力してもらうしかない。怒りと絶望で、体が震えてくる。その時、再び電話が鳴った。

「ももきみどりさんですか?こちらカタール空港です」

今度は日本人の女性。日本語で話ができる!その安心感で、張りつめていた糸がふっとゆるんだ。同時に、大粒の涙があふれ出す。

「助けてください。お願いします」

私は初めて懇願した。何でもする。どこにだって行く。だから、私たちを助けてほしい。102本目の「ノー」を「イエス」に変えることができるのか。(明日に続く)

 

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