絶望から咲く花

【一日一作プロジェクト】「絶望から咲く花」を作った。10月になってもまだ、

「オクラ、ピーマン、パプリカ」

が採れる。よくぞここまで。今年の猛暑を乗り越え、芽を伸ばし、花を咲かせ、実をつける。そのたくましさ、命の神秘にエネルギーをもらう。かつて日本庭園だった頃にはあまり見かけなかった、

「虫たちがいっぱい」

今日はバッタ、カマキリ、蝶々、蜂。他に名前の知らない虫たちまで(害虫含む)。それぞれにけんめいに生きている。毎日くりひろげられる命の物語。

「庭は小さな宇宙なのだ」

そこに、私たちの方が身を置かせてもらっている。さて。週2回のリハビリとは別に、毎日夕食を作る前にふらりと近所を歩いている。毎度同じコース。初日は、

「40分・2500歩」

だったのが、昨日は「30分・2000歩」になった。そう「歩幅」が広くなってきたのだ。やっと右足をかばうことなく、左右バランスよく歩けるようになってきた。この際、スピードはどうでもいい。

「歩いている!!!」

そのことが、うれしい。こんなあたりまえのことが、本日のメインイベント。すれ違う元気な小学生、真っ赤な彼岸花、日ごとに早くなる日の入り、頬を撫でる初秋の風。前を行く足を引きずって歩く高齢の方に、

「やっと涼しくなりましたね」

と思わず話しかけてしまう。歩く速さが同じで〜(笑)。しばし畑の話で盛り上がる。足が悪くても「畑だけは楽しくて」と少女のように笑う姿が愛らしく、神々しくさえ見えた。

「自分が健康で早足の時には見えなかった、足を止めなかったものや人」

に、今の私は癒され、勇気をもらっている。スピードを落とすから見えるもの、わかること。体を自由に動かせる、って最高の贈り物だ。

2ヶ月前。駅の階段でシルバーカーを下ろすのに苦労している女性がいた。思わず駆け寄り「私が下ろしてもいいですか?」と尋ねる。聞けば足が悪く、買い物で荷物が重くなってしまったとのこと。

「あの、家はどの辺ですか」「○○の△△です」

なんと!まさかのご近所さん。「よかったら一緒に帰りませんか」「いいですか?」「怪しい者じゃありません」。私たちはいろいろおしゃべりしながら、家の近くまで一緒に歩いた。

「迷惑をかけるのがいやで。でも、出かけると周りの方に迷惑が」「そんなこと絶対ありません。1人で出かけられるって、すごい勇気のいることです。すてきです!」

あの時、私は知らなかった。あの1ヶ月後に、自分が同じ駅で歩けなくなり、階段も降りられなくなることを。たった5、6段の階段を前に立ち尽くす。あの女性の絶望的な気持ちが、私の中に流れ込んだ。

「絶望から咲く花」

私たちは、悲しみ、痛み、怒り、絶望を、養分にかえる力を持っている。時間はかかるかもしれないが、絶望の強烈なエネルギーを、生きる力に。ベクトルを変えれば最強のパワーに。エールアート。

みなさま、すてきな1日を。

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