2014年は、スペインは不況で始まり、不況で終わった。
こうした背景には、スペインと言う国が
大きく2つの階級、「支配階級と労働階級」に分かれていることにある。
日本のような「国民の大半が中流」と言うのとは、はっきりと異なる。
私と同世代のスペイン人の友人、一般層というのは実に鮮やかに
「6か月以上の契約がもらえないまま働いている」か
「契約書のないパート」がふつうである。
つまり、「定職がない」状態で、生活を支えていかなければならない。
友人の中には、すでに社会保険料も年金もすでに払えず
(家賃や食料、電気代が当然先なので)
もう、年金をあきらめている人も多い。
そういう中で、スペインのロイヤルファミリーはやりたい放題。
「公金横領の疑惑」で、裁判所へと向かう王女クリスティーナの
無頓着な笑顔に、国民は仰天したものだ。
まるで、テープカットでもしに来たような気軽さ。
カメラに向かって笑顔を振りまいている。
さらに、2014年秋に亡くなった皇族のドゥケサ・デ・アルバは
知る人ぞ知る、ヨーロッパランキング「私有地所有者べスト10」に入る億万長者。
スペインの多くの土地を所有し、農地として使用することもなく、ほったらかし。
ただ持っている、という状態。
だったら、国民に無料で貸し出せばいい。
少なくとも、失業者たちが自分の食べ物を作り出せる環境を提供できる。
これで、高額な所有税を払うというなら、まだしも
所有することで毎月3000ユーロとかいう補助金をもらっている。
これっていったい、何なんだ。
こういう事実は、テレビのニュースや新聞にはほとんど出ない。
たぶんどこの国のマスコミも似たようなものだとは思うが
情報は、国および上層部の人たちに、厳密に管理されている。
「支配階級にとって不都合なもの」は、出ない。
出ても、報道の自由の宣伝みたいなもの。
スペインでは「EL MUNDO」「LA RAZON」「ABC」など
超右翼ファッチョ系の新聞は
ロイヤルファミリーや皇族、支配階級を全力で保護している。
あまりに報道が目に見えて一方的なので
「これは、お抱え新聞?」
と、苦笑したくなるこさえある。
スペインの支配階級とは、ロイヤルファミリーを頂点に
現在でいう最右翼政党「PP党」の政治家、
それに連なる金融業界、大企業、投資家・・・
これらが「スペインピラミッド」を構成している。
が、日本とちがうところは、ピラミッドが三角形でなく
「頂点と底辺」しかないところである。
この頂点こそ、この国の実権を一手に握っている「特権階級」。
この「上下関係」こそ、スペイン社会を、一言で表すものだろう。
去年、こうしたやりたい放題の「汚職政治家たち」を
裁判で、公的に裁こうとした「判事」が
なんと、逆に「強制退職」させられた。
「首を突っ込むな!」
という、これは見せしめ。マフィアと同じ。
いまだその判事は、復職できないでいる。
こうした驚くべき事実を、記事にし、報道するのが
マスコミであり、ジャーナリズムであるのだが
「いろいろ圧力がかかって・・・」
と、本来の役割を果たせていない
権力に寄りそったテレビ屋、新聞屋が非常に多い。
そういう情けないマスコミにかわり
私たちが利用しているのが、「真の情報」を報道するようつとめている
「ラ・セクスタ(6チャンネル)」のドキュメンタリー番組や討論番組、
インターネットで公開されているニュースや番組だ。
スペイン語で、かなりのスピードで展開されるので
正直難しいが、見る価値は十分にある。
明日はこの「ラ・セクスタ(6チャンネル)」について、書きたい。