先日、マラガのわれらがエル・パロ地区で
「停電」が起こった。
わざわざカッコをつけて書いたのは
この停電、朝の10時から午後3時まで
なんと5時間も続いたからなのである。
それも、地区全体で起こったらしく
11時半頃、買い物に出かけて行くと
お店の中は真っ暗。
ついでに、信号機も真っ暗。
車は左右を見回しながら
よろよろと恐ろしげに角を曲がっている。
おかげで私も道を渡るとき
必死で車を確認して
横切らねばならなかった。
事故でも起こったら、いったい誰が責任を取るのだろう。
お店の中なんて
お兄さんの照らす懐中電灯の光の輪の中で
じっと目をこらして商品を探すのだから
もうへとへとである。
やっと暗闇に目が慣れてきたなーと思ったら
背後からセニョーラの
「ちょっとこれ、何色なの?」
という声が聞こえてきて、笑ってしまった。
うちのマンションを出るとき
すでにエレベーターは止まっていたし
ガレージもドアも開かない状態で
住民はマンションの玄関にわらわらと集まり
大騒ぎであったが
なんというか今一つ、「緊迫感」に欠けるのである。
どうしてもニッポンと比べてしまうのだが
日本で5時間の停電、ってすごいんじゃないのか。
よく耳を澄ましてみると
大声でわめきたててはいるものの
「いつ、停電がなおるのか」
については、あまり言及されていない。
いかに困っているかをお互い主張するだけで
「この停電がいつまで続くのか」
という、一番大切な部分には
ほとんど追及されていないのである。
つまりマラガっ子は、みんなどこかで
「そんなこと聞いたってわからないよね」
と、心の底で思っており
「そのうち、電気はつくであろう」
と、ぼんやりと思っているのである。
大騒ぎ、大声のレベルは
日本の10倍くらいだが
真剣味は、日本の10分の一くらい。
なんだかなぁ。
私は、お店で大騒ぎするセニョーラたちの
いつもとまったく変わらぬ
元気な大声を聞きながら
マラガっ子の「地中海気質」を
大停電の中で、しみじみと感じていた。