先日、テレビの旅番組で
「サント・ドミンゴ」の特集があった。
カリブ海に浮かぶ「ドミニカ共和国」の
首都である。
青い海と豊かな自然、カリブの陽気さ。
心が洗われるような映像であった。
が、テレビをつけたのが遅かったのだろう。
番組は、10分足らずで
終わってしまった。
がっくりである。
これから、という時に。
仕方なく、唯一そばにいて
すぐに聞けるベラに尋ねてみる。
「ねぇ、サント・ドミンゴって知ってる?」
爪を切りながら
ほっこりくつろいでいるところを
直撃したのも悪かったのだろう。
数秒、考えていたが
「パポ・ルッカが住んでるところ」
と、答えた。
「えっ・・・それは、プエルト・リコだよ」
首をかしげながら
「そうだった?」
自分でも不思議そうな顔つきで
「カリブ海に浮かぶ島、っていうから
パポ・ルッカかと思って」
「・・・・・」
思わず、私の方が驚いてしまった。
すばらしい。
これを正解、としておこう。
事実としてどうなのかでなく
自動的な反応として
この答えが出てきた、ということが
すでに正解を上回っている。
潜在意識が、パポ・ルッカと答えたのだ。
パブロフの犬。
本人は気づいていないが
プエルト・リコに
ベラの心と脳みそは、少しずつ近づいている。
「ああー、どうして足の指ってこんなに遠いの?」
背中を丸めながら
一生懸命、爪を切るベラの姿を眺めながら
不思議な満足感が、私の中に広がった。
「これでいい・・・」
洗脳は、確実に進んでいる。
ベラは気づいていないが
プエルト・リコへ。
パポ・ルッカへ。
その旅は、確実に始まっている。
もも、お前も悪よのぉ。
ニヤリ