うちのオウムは
定期的に鳥かごに入れないと
イタズラが日に日に
エスカレートし
「もうどうにも止まらない~」
状態にまでたどりつくという
不思議な周期を
くりかえす。
だいたい三日で
ベラの怒りに触れ
一週間で
私が虫網を持って
家の中を追い回す、という
プロセスをたどる。
で、今朝
ついに私の堪忍袋の尾が切れ
鳥かご行きとなった。
台所に行ったら
無残にもパンはほじくり返され
鍋はひっくり返り
トマトまで突かれ
ぼろぼろになっていた。
「ケ・アセス!(何してるの)」
私の声に
オウムが振り返る。
問題はその時の
恍惚とした表情、である。
興奮と歓喜および快楽が
いっしょになったような
不思議な顔つき。
「ハウラ(鳥かご)!」
と、私が力強く命令する。
「ノー!」
オウムは答える。
こっちを見返しながら。
はっきりと。
スペイン語で。
「ハウラ!」
さらに強い口調で命ずる。
「ノー!」
全身を引き締め
怒りをあらわにしながら
こちらを見つめている。
明らかに拒絶の態度。
「なんという・・・」
オウムが拒絶するなんて。
それも
「ノー」って。
言葉で。
「ぐぐぐーっ」
とかいう鳥の声でなく。
「なぜ、こんなことに・・・」
ため息をつきながら仕方なく
パンくずやトマトを片付ける。
その間もオウムは
「ノー!」
と、こちらを睨みつけながら
仁王立ち。
うーん。
これは明らかにオウムは
「ノー」という意味がわかっており
的確なシチュエーションで
使っていることを知っている。
そんな静かな自信が感じられる。
なんという。
おまけにオウムの
「ノー」
という声が異様に低く
ベラの声にそっくり。
なんとかしてほしい。
いや、本当に何とかしてあげたい。