ベラのこと・8「バイキング式の葬送」

CIMG1196 CIMG1200 CIMG1201 CIMG1208 CIMG1209 CIMG1210 CIMG1215 CIMG1216「うわぁー日が沈んじゃう」
「早く、早く!」
私たちは一目散に
海へと向かった。

いつもベラが釣りをしていた
うちから自転車で5分の浜辺が
本日のお葬式の会場。

そのときだった。
カロリーナが顔色を変えて
叫んだ。
「あーっ、パパの遺骨を
家に忘れてきちゃった」
「・・・・・」

さすが。
「おおざっぱ」で
「あまり常識がない」私たち。
船を作ることに一生懸命で
肝心の「遺骨」のことを
すっかり忘れていたのだった。

「あーはっはっ」
お腹を抱えて大笑い。おかげですっかり夜になって
しまったではないか。

さて、バイキング式の葬送は
完璧だった。
船に火をつけクリスチャンが
海の中へと運んで行く。

船は揺れながら
火に包まれ
やがて炎の塊となった。

「ブエン・ビアッヘ(いい旅を)!」
私の口から出てきたのは
「アディオス」ではなかった。

バイキング式の葬送は
人生は旅であることを
教えてくれる。
そして最期に人は
火になり、風になり、
海になり、
自然の一部に還ることを
教えてくれる。

私たちは場所をかえ
さらに一人ずつ
手に遺骨を握りしめて
海にまいた。
「ベラ、グラシアス!」

知らぬ間に私は
合掌していた。
そのときになって初めて
涙が出た。
ベラの旅立ちが幸せに
包まれていたから。

日本では折しも「お彼岸」であることを
後日、教えてくださったのは
伊藤さんと中岡さんだった。

すっかり忘れていた。
「悟りの境地にたどり着く日」
ベラはなんて幸せ者だろう。

川を越えて行く、というが
そこで立ちどまり
「魚釣り」をしている
ベラの姿が浮かんだ。

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