ベラのこと・9「形見分け」

「バイキング式の葬送」も無事成功し
満足感に酔いしれて家へ着くや
あまりの疲労で朝の9時まで
ぐっすり眠りこけてしまった。

さて、翌日9月23日は
いよいよ「形見分け」。

参加者は
カロリーナとクリスチャンと私。
って、いつもこの3人だけど(笑)
それがオークション並みの
盛り上がりなのだ。

「あーっ、これ、パパのシャツ」
「これっ、まだ持ってたの!」
「ぎゃー、私のぬいぐるみー」

やはり一番人気は
ベラがいつも使っていた
マテ茶セットとナイフ。
これも数個あったので
3人で分け合った。

そのときであった。
クリスチャンがもじもじしながら
私に尋ねた。
「あの・・・もし、だめだったら
ノーって言ってね」
こんな前置きで話し出されると
いったい何が欲しいのか
ドキドキしてしまう。

「あのね、僕・・・・これが」
「これって?」
「くまモンが、ほしい」
はないちもんめでは、ない。

「くまモン・・・だめだよね」
私は一瞬、考えた。
これは敦美お姉さんが
両親にプレゼントし
さらにベラに献上された
「家宝」ともいえる存在。
見た目はとぼけているが。

「パパと僕の息子(1歳)が
最後に遊んだのが、くまモンなんだ。
自慢げに披露してくれて・・・」
「・・・・・・」

ベラだったら、何と言うだろう。
私が思い出の品として持っているより
孫たちが遊んでくれた方が
うれしいんじゃないだろうか。

「くまモン、スウェーデン語も話すんだよね」
クリスチャンがさっそく
くまモン相手に話しかける。
まぁ、何語でも話すであろう。
日本からスペインに渡ったと思ったら
今度は北欧、スウェーデンか。
なんか壮大な旅だ。

「いいよ、持って行っても。
でも大切にしてね」
「ありがとう!うちで大切にするよ」

そうして形見分けの翌日
くまモンはクリスチャンといっしょに
まだ見ぬ国
スウェーデンへと渡って行った。

くまモン、スウェーデンへ渡る。

いったい誰が、想像しただろう。
豊橋の実家のリビングで
のんびり昼寝をしていたくまモン。
それがいきなりスペインへ。
そして今度は、北欧スウェーデンへ。

こんな運命が待っていたとは
くまモン本人だって
思ってもいなかったにちがいない。

人生は旅なのだ。
バイキングの国、白夜の国へ。
くまモンの旅は続く。

 

 

Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]

「ベラのこと・9「形見分け」」への2件のフィードバック

  1. そうそう、これです!
    クロ隊長、検索ありがとうございます。
    ベラ、ほんとうれしそう(笑)
    こんな調子でスウェーデンから来た息子&孫(1歳)に
    自慢げに披露していました。
    もちろん「ニッポンの最新テクノロジー」っていうふれこみで。

    くまモンがスウェーデンに行ってしまって
    ちょっとさみしい我が家かな(字余り)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です