昨日の続き。

オウムの乗っている
「パソコンテーブル」は
実はゴミ捨て場から
拾ってきた「板」に
ベラが脚をつけてくれたもの。

「この向きを変えたい」
とずっと思っていた。
箱型パソコンが重くて
これまでできなかったが
これを機会に
このコーナーも模様替えだ！

写真のように
これまで箱型パソコンは
オウムに襲われないよう
「オウムよけの画＆布、
さらにマスコット」
に守られていた。
お姫様のよう（笑）

左下の写真、奥に見える
「作業テーブル」も
ゴミ捨て場から「板」だけ
拾ってきて
べラが脚をつけてくれた。

「このテーブルの
置き場を変えたい！」
とこれまたずっと
思っていたので
数年ぶりにこのコーナーの
家具が動くことになる。

アトリエ作りが始まってから
うちにあるすべての家具が
「大移動」を始めている。

ベラが見ていたら
卒倒するところであろう（笑）

で、あきさんの話。
「事務用イス」を買うため
IKEAへ車で連れて行って
くれることになった。

ベラがいなくなってから
「車に乗る」ということが
そもそもなくなってしまったので
気分はほとんどドライブ。

早いなー。
快適だなー。
景色がきれいー。

最近いつも歩いているので
すごく車のスピードが
早く感じられる。

うちから約２５分で
IKEAに到着。
さっそく「イスコーナー」へ。

あるある。
事務用イスが
デスクと並んでいると
とても高級感がある。

が、なにしろ
「予算は５０ユーロ」
なのでとりあえず
２９ユーロとか３９ユーロなどという
イスから座り始める。

これまで背中と座るところが
直角の固い木製のイスに
座り慣れていたので
どれに座っても
「すばらし～」
「きもちいー」
と、感じられる。

あきさんもいっしょになって
一つ一つ
すべてのイスに
座ってくれるが
きりっとした表情で
「ダメ出し」が始まった。

「あ、これは全然だめ」
今、私が幸せに浸っていた
２９ユーロ、３９ユーロのイスは
一瞬で却下された。

「これも、背中が
リクライニングしないな」
４９ユーロも、ダメ。

「あっ、これいいな！」
急にあきさんの目が輝く。
私も座ってみると
なんという。

まるで体が
宇宙に吸い込まれていくよう。
「あぁあ～」
恍惚、とはこのこと。
このまま眠ってしまいそうだ。
が、これじゃ
仕事をする気は起きないだろう。

「あ、予算オーバーですね」
値札を見れば
２５０ユーロ。
桁ちがいである。

一瞬にして
「座り心地の違い」を
的確に見分けるあきさんに
私は感動していた。

そして、なぜだか突然
私の脳裏に
「アルプスの少女ハイジ」が
浮かんできた。

きっと私はヤギを追いかけて
裸足で丘を走り回り
木製のイスにちょこんと座って
チーズを食べていた
ハイジなのだろう。

だから何に座っても
「夢心地」なのである。

それに比べ
あきさんは言ってみれば
フランクフルトの
ロッテンマイヤーさんとクララの住む
高級住宅にお住まいなので
「これは、だめ」
と即座に、叩き切れるのである。

「５０ユーロじゃ、ないですね。
結局、座り心地が悪いんじゃ
意味がないし・・・」
「そーですか」
「これなんか、いいと思います」
あきさんがすすめるそのイスには
６９ユーロという値札が
ぶら下がっていた。

「２０ユーロの差で
これだけ座り心地が変わる。
毎日使うんだから
買う価値はありますよ」

言うことが
いちいちもっともなので
うーんうーんと、考える。

今の私に７０ユーロは
確かに大金だが
アトリエを立ち上げるにあたり
一番大切なのは
「イスと机」である。
ここからすべてが
生み出されるのだ。

「あきさんの家のイスはきっと
もっといいものなんでしょうねぇ」
ふと思いついて、尋ねてみる。
一瞬の沈黙の後
「・・・・そう、ですね」
と、遠慮がちに答えられた。

その瞬間、私の脳裏に
クララの住むフランクフルトの
高級住宅の「豪華サロン」が
ありありと浮かびあがった。

（明日につづく）