南フランスから再びスペインへ。
結局フランスで買ったものといえば、『鍋』がひとつ。
それも『雑炊』を作るため。
カニグー山麓でひいた風邪がなかなか治らず、
毎日、具を変えては雑炊を食べつづけていたのだ。
「あったか~い、おいし~い」
国境を越えると、いきなりぐぐーっと気温が上りはじめた。
「こんなにちがうの? フランスとスペイン」
思わず上着を脱いで、窓を開ける。いきなり青空、太陽がまぶし~い。
「おおお~、ありがとうございます」
これなら、風邪も治りそう。
わたしたちは、海岸沿いをドライブ&観光しながら『ドゥーケ』の待つバルセロナに向かった。
海岸のすぐ横に広がる遺跡『st marti d empuries』、中世の城砦都市『pals』。
「せっかくだから、浜辺のあるキャンプ場で1泊しようか」
そうして入った『platja d aro』のキャンプ場。カーブを描く小さな入り江に、真っ青な海が広がっている。
「うわぁぁぁ~きれい!」
マラガ周辺の海とはくらべものにならない青さ。砂のきれいさ。わたしたちは、いつまでも浜辺で夕日を眺めていた。
その後『tossa de mar』などに寄りながら、ついに『ドゥーケ』宅に到着。
「いったい、どこまで行ってたんだ~」
「ピレネー山麓」
「へぇ、スキーしに?」
そんなに寒い、って知ってるなら最初に言ってよ!
さて、医者である『ドゥーケ』は毎年、この時期になるとインフルエンザ予防の注射を打つ。
次男が医者で、その嫁が看護婦という病院ファミリー、みんな注射針には慣れており
「よかったら、打ってあげようか」
「ええっ」
「旅のお餞別よ」
最後の夜は、総当たり戦で『卓球大会』。親善試合ではなく、本気なので1点ごとに
「ああっ」「もうっ」
「ちくしょー」「集中だぁっ」
って、大騒ぎ。判定にもクレームが続出でなかなか進まない。気がすまないと
「もう一戦だ!」
って、時計はすでに夜の12時すぎ。
「あなたたち、もう寝る時間ですよ!明日、起きられなくなるでしょう」
と奥さんに叱られ、まるで子どもにように各自、寝室に戻ったのであった。
『ドゥーケ』ご一家に見送られ、わたしたちはふたたびキャンピングカーへ。
これからまた、マラガまで5日かけて南下して行かなければならない。
『タラゴナ』『サグント』などで町の観光をしながら、南へ。南へ。
「バモス・アル・スール♪」
と、何十回と歌いながらガソリンスタンド生活は続く。
が、さすがにこの頃になると夕方は涼しく、ミネラルウォーターのボトルでシャワーを浴びるのは、かなり寒くなってきた。
「ううー、寒いよ~」
タオルに包まりながら震えていると
「そろそろ家が恋しくなってきたね」
とベラが言った。
「うんっ、温かいシャワー浴びて、ソファに座りたい」
そして、
「オウムを迎えに行かないとね」
わたしたちは夜になるたび、オウムにつける名前や、鳥かごの位置などを話しあっては、
これから始まる3人の生活に思いをめぐらせた。
「ガソリンスタンド見ると、宿泊所に見える」
マラガに着いても数ヶ月は、その症状がぬけなかった。
そして、トラックがとまっていたりすると、妙な懐かしさ、親近感をおぼえるのだった。
二人で作ったロゴ入りTシャツは、1ヶ月に渡る連続使用によりすっかりのびきり、ぼろぼろ、よれよれ。しみだらけ。
野外生活でまっくろになったわたしの手、腕、足はそこらじゅう、
切り傷、打撲、虫さされのあとで、無残にも凹凸ができている。「『無地』のところがないよねぇ」
ベラがあきれたようにつぶやく。たしかに、これがほんとうに女性の肉体かと思われるようなありさま。
たった1ヶ月で、よくこれだけ人の容貌が変わるものだと、しみじみ思った。
野外生活を続けていると『鏡を見る』機会が極端に減る。
「次回は『鏡』を持って行こう!」
「まだ、行く気?」
「次はモロッコへ行きたいなぁ。サハラ砂漠。らくだに乗って砂丘を渡るの!」
「砂漠かぁ、いいかもね。馬はよく乗ったけど、らくだに乗ったこと、まだないなぁ」
そのとき、まだベラは知らなかったのだ。
その1年後のバカシオネス(バケーション)の行き先。
40度のサハラ砂漠の熱風の中、らくだの背中にしがみつきながら、ベラは叫んだ。
「あぁ~、なぜらくだには『あぶみ』がついていないんだぁっ!足を置くとこがないから、お尻が痛くてたまらないよ。次回は絶対『あぶみ』持ってくる!」
10年ほど前、初めて馬に乗ったとき、乗馬って馬の背骨に乗ることなんだと気づきました。鞍はついていたのですが、椅子に座るような安定感は皆無で、馬が歩くたびにぐらぐらぐらぐら。らくだもしかりですよね。きっと。見た目ほど、ロマンチックではない。
しかし、ももちゃんの旅は旅っていうより「冒険」に近いかも。常に何かにチャレンジしてる感じ。次の旅報告、楽しみにしてます。
わたしも『馬』に乗らされたことがありますが(ベラに)
たしかに不安定ですよね。
馬が歩いてるとき(スペイン語でパソ)はいいが、
次の「トロッペ」さらに「ガロッペ」になると
もう、いけません。
足のうちもも、腹筋が痛くて、翌日たいへんでした。
ところが『らくだ』に乗って
『馬』は、すばらしく乗りやすい動物であることに気づきました。
予備知識なくらくだに乗ったら、
まず「落ちます」ね。すごいですよ。
さらに「あぶみ」がないので
腹筋トレーニング、らくだに乗っているあいだ中。
って、40度の熱風のなか。
「もう、おろして!」
って思った観光客は、きっと少なくないでしょう。
詳しくは、『モロッコ・砂漠の旅』で書きますね。
どうぞ、お楽しみに。
馬が乗りやすい・・・。らくだが恐ろしく乗りにくいことは何となくわかりました。モロッコ・砂漠の旅、楽しみにしてますー。