『漂流家族』マラガを漂流中!

わたしたちを含む『マラガ下町コミュニティ』の人々は
基本的に定職がなく、季節労働者なので、ポブレ(貧乏)である。
が、ただのポブレではない。
ポ・ポブレ(前向き貧乏)だ、オ~レ!

さて、映画館に毎月、行くこともままならないので
ときどき誰かの家で『上映会』を行う。
食べ物、飲み物もちこみで、映画見る前から大盛り上がり。
「ちょっと、静かに!映画、始まるよ~」
「なんだぁ、今日の映画は~」
ってちょっと、説明、ぜんぜん聞いてなかったの?

今回の『上映会』は、うちの番だったので
わたしは夕方からチキンの煮込み、フームス、サラダ、など作り
会場セッティング。いすも10脚ほど用意。
本日の上映映画は知る人ぞ知る!
『大野 健・監督』の『漂流家族』。
日本映画」だ~!
それも、簡単に見られるしろものではないのだ!
ということをまず説明し、みんなを黙らせる。

まずタイトルの説明から。
で、いきなり問題。
『漂流する家族』って、直訳したら
「トム・ハンクスみたいな映画?」
「漂流は、たとえです」
「航海する民族の話?」
「海から、離れてください」
って、クイズの司会じゃないんだから。

「じゃ、いきますよ」
10人あまりの観客を前に、映画は始まった。
家族全員が『食卓』を共にする場面が映し出される。
この光景こそが、この映画のテーマなのだが
『訳しながら』見る、のでけっこうたいへんだ。

それでも、食卓を囲む光景が映し出されるとみな口々に
「いっただきま~す!」
と、言うではないか。よしよし、順調。
さらに、バッハがかかるとクラシック好きのべラやレイナは
「る~る~るーる・・・」
と、いっしょに歌っている。
なんて参加型の映画なんだ。
日本語もおぼえ、いっしょに歌うこともできる。

詳しいことを書いてしまうと、ストーリーがわかってしまうので
ここまでにしますが、
家族それぞれ、心に秘めていた「言えなかったこと」が
「食卓を囲むこと」で、自然に口をついて出る・・・
その自然な和解が、共感を呼んでいました。
そして何より、家族の「意外な真実」が明らかになるたび大爆笑!

好評につき、今回の「上映会」に参加できなかった
マラガ下町コミュニティの人たちには
特別に「貸し出し」をすることにしました。
というわけで、『漂流家族』、マラガを漂流中!

大野 健・監督、次の作品も期待しています。

 

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