10.月の砂漠

『ももの音楽づくり♪』第10回目の今日は
日本の名曲、『月の砂漠』を紹介します。
「つ~きの~、さば~くを~♪」、いい曲ですねぇ~。
この曲には、特別な思い出があります。
たしか3才の頃、両親に買ってもらったドーナツ版のレコードの中に
『ゆりかご』といっしょに入っていた曲。
こども心にも、もの哀しく美しいメロディが大好きで
何度も何度もくりかえし、聴きました。

「ふるさとは、遠きにありて思うもの」
わたしがふたたび「日本の名曲」を思い出したのは
実にそれから25年の年月がたち、
日本から遠く離れたスペインの大地に立ってからのことでした。

地中海のかなたを眺めながら、ヤシの木陰で口をついて出る
「名も知ら~ぬ、遠き島より流れよる、ヤシの実ひとつ・・・」
オウムを寝つかせるとき、そっと口をついて出る
「ゆ~りかごの歌を~、か~なりあがう~たうよ・・・」

そして、ホテルで「日本の曲」のリクエストがかかるとき、
また、人気のひけたラウンジで、そっと自分のために弾く『月の砂漠』。
遠く日本を思うとき、愛する人たちを思うとき、
泣いたりおちこんだりするかわりに、何度も何度も弾いてきました。

さて、ラテン圏であるスペインは、リズム感のある曲が主流。
そこで、たくさんの人たちに楽しんでもらえるよう
前半は日本風にしっとり、後半はラテン風・のりのりにアレンジ!
スペインのホテルで弾くときは「サバク・サルサ♪」って、紹介しています。

いつだったか、ホテルが企画した「オリエンタル週間」のとき
「衣装もオリエンタルで来てね!」
と言われ、大あわて。着物なんか持ってないし・・・・
「そうだっ!」
われらが名古屋の『米兵』があるではないか。
日本帰国の際、買った「古着物」があったはず。
しみのところは切って縫って
「できたっ!」
手作りオリエンタル衣装が完成。あぁ、米兵よ、ありがとう。

頭に差すかんざしは、会社員時代お世話になった中岡さんからの贈り物。
「まさか、こんなときに役にたつとは!」
それでも、足りないから、「お箸の先に飾りをつけて」
さらにかんざしを、4本手作り。

ふるさとは、遠くきにありて思うもの。
の、はずが、スペインで思いっきり
「オリエンタル風味」を求められています。

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