8.文房具屋めぐり&大野さん

昨日の続き。
(7月のことを書いています)

名古屋二日目は、朝から「文房具屋めぐり」。
「めぐる」と言えば
外湯や名所旧跡がふつうだが
マラガからはるばるやってきて
名古屋の文具処(そんな言葉はあるのか?)の
大御所を次々と回って歩くのだから
これは「めぐりもの」であろう。

まず「東急ハンズ」。
ここですでに、朝から気分は高揚。
こんなもの、あんなものがいっぱい!
目移りして、心臓は高鳴り脈拍も上がる。
ニッポンにお住まいのみなさんは
「まぁ大げさな」とお思いでしょうが
マラガ在住のKさんの言葉を
ここで引用したいと思います。

「ももさん、ハンズとかロフトに行ったら
鼻血が出ますよ!」
それくらいマラガの文房具屋では
「目移り」「興奮」「肉躍り、血湧き立つ」
といった心身の状態とは無縁なのである。

さて、今日の買い物の目的は二つ。
「7月10日の展示会で使うもの」
「スペインへ持って帰るもの」
を、購入すること。
まず、展示会場で行うライブペイント用の
ボードを買い付け。

こんなものがマラガにあったらなぁ。
そう、あのどこの文房具屋にも置いてある
「イラストパネル」さえマラガには、ない。

それぞれのフロアーでいろいろな素材を
見たりいじくったりしているうちに
あっというまに午前中を使い果たしてしまった。
「ややや、丸の内へ行く時間じゃー!」
購入したものをレジに預け
2,3時間で戻ることをお伝えする。

今日のお昼は、このブログの立ち上げ人である
大野さんと待ち合わせ。
「展示会および前日の飲み会」もご都合が悪いということで
本日、お豆腐料理屋さんで再会となった。

「大野さん!」
早く着かれた大野さんはカウンターで
静かにグラスを傾けていらっしゃった。
(今思ったが、大野さんをそのままパリくんだりまで連れて行き
 カフェに座らせておいても似合いそう。
 数少ない「アンニュイな日本人」を地で行く方だと思う)
さっそく私もビールをいただき
「乾杯~!」
お昼からビールが飲めるなんて、スペインのようだ。

お豆腐を中心とした和食ランチをいただきながら
近況報告。半年に一度しか会えないので
おおざっぱな「上半期近況報告」になってしまう。
でも、大野さんは相変わらず思慮深く
アンニュイな空気を漂わせていた。

豆腐料理「吉本」は、新しいお店にはない
独特の鄙びた雰囲気に包まれている。
丸の内にありながら隠れ家風で
不思議な上品さを漂わせている。
店内を一人で仕切る女将さんの姿も印象的。
どこか男性的でカッコいい女性だな、と思う。
大野さんに誘っていただかなければ
つい通り過ぎてしまっていた。

大野さんはこうして時々何気なく
テリトリーに足を踏み入らせてくれる。
なかなか簡単に近づけない大野ゾーンだけに貴重だ。
あ、私が猿だからかも。

パソコンを使えるようにした猿。
調教師を慕って、恩師に会いにくる。
そういう図。

多くを語らず、が大野さんのスタイルなので
「計画中のプロジェクト」については教えてもらえなかったが
きっと数年のうちに、実を結ばれることだろう。

「そろそろ時間だから」
と、腰を上げられた大野さん。
これから映画を見に行かれるとのこと。
握手をして、それぞれの道へ。

別れはいつも、切ない気持ちを私の中に残す。
たとえランチの後の「またね」でさえ。
私は口にしなかった言葉を
大野さんの背中に向かってつぶやく。
大野監督の映画を、再び見られる日を楽しみにしています。

霧雨がぱらつく中、再び歩き始める。
大野さんは「映画館」へ。
私は「ロフト」、そして「世界堂」へ。
私たちは今、いるところで生きていくしかない。
今日の自分で。今日を生きるために。

(明日につづく)

Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です