仰天のバスカード事件

車の免許を持っていないので、私の行動は基本的に徒歩とバス。マラガっ子はみんな「ボノブス」というバスカードを持っていて、十回分の乗車券をチャージして使う。

先日、エル・パロ地区のキオスクへ行き、いつものように「ボノブス」カードをチャージしてもらった。顔見知りのおじさんなのだが、チャージ中の操作画面を見つめながら、一瞬ぎょっとしたような表情になった。

「このカード・・・いつから使ってるの?」
「えーと、もうずっと前で、うーん、おぼえてないんですけど」
それが何か?というニュアンスで、おじさんの次の言葉を待つ。
「このボノブスのカードは、いちおう使用期限が十五年なんだよね」
「はぁ」
「で、今、表示されたところによると、あなたのカードは今月で十五年を迎える。らしい」
「はああっ?十五年?このカードを私はチャージしていたんですか!」
「そういうことになるね」

この事実に、私の方が仰天してしまい、しばしおじさんと二人、顔を見合わせて突っ立っていた。確かに十年は使っていると思うが、まさか満期になるとは。
「延長しといたからね」
「できるんですか?」
「これからは一年ごとになるけどね」

そういえばこのキオスクにも、二十年近く通っていることに改めて気づく。
「いやぁ、僕も長くキオスクやってるけど、十五年の期限切れが出るまで使った人は、なかなかいないよ」
それは、ちょっと誇らしげな言い方だった。
「ここまで大切に使ってくれて、バスカードも喜んでいるよ。僕もね!ありがとう」

おじさんはバスカードを私の手に返すと、まるで自分の友達がずっと大切にされてきたかのような口調で、言った。

Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]

「仰天のバスカード事件」への1件のフィードバック

  1. いきなり業務連絡ですみません。
    クロ隊長、マニュアルどおりにやってみたら「作成者リスト」が
    いつもどおり現れました!ので、さっそく直しました。
    これからはもう大丈夫です(でも新しい問題が起きるのであろう)
    大変、お手数をおかけしました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です