昨日の続き。「衣類の大整理」を始め、寝室は「すごい眺め」になっていた。クローゼット前の床、ベッド、テーブルすべて「布きれ」が山積み。それも「無造作に」「ただ重ねて」あるだけなので、大切な衣類が「ただのボロキレ」に見えてくる(写真五枚目)。
こうなると、「選択」そのものがうっとおしい。いっそ、床にある物全部、あるいは、山となっているものごと、「抹消」したくなる。が、後悔することは目に見えているので、一枚ずつ試着しては「着る」「捨てる」の、山に分けていくのである。
そんな最中、夜の八時半すぎ。いきなりアイフォーンが「ピン!」と鳴り、「もう夕食、食べた?」
と、メッセージが飛び込んで来た。見れば、ハビ吉。
「まだ。それどころじゃない」
と、私は一枚の写真を送りつけた(五枚目)。
「カオス・・・・」
という一言が送り返され
「今、休んだらもうできない気がする。から、じゃね」
と、座り込みそうになる自分を叱咤して、アイフォーンを切った。
その三十分後。玄関のブザーが鳴るので出てみると、ハビ吉であった。
見れば、手に食料品の袋をぶら下げている。ではないか!
「お腹、空いてると思って・・・」
涙が出そうになったが、ここで「ありがとう」と受け取ってしまったら、これまでと同じである。
先日、動物占いで「面倒見のいい黒ひょう(ハビ吉)」の最悪の天敵は「我が道を行くライオン(私)」。その理由が「黒ひょうは尽くしっぱなし。ギブ&テイクの、ギブ100%」と書かれていたので、私は心を入れ替えたのだ。
「今から、夕食作るから食べて行ってね!」
そんなことこの二十年間、言われたこともなかったハビ吉は、しばらく固まっていた。毒でも盛られると、思ったかも。
とりあえず、サラダやハムやチーズや、おつまみだけでも並べてみた。そして、ロウソクもつけてみた。ここまで来るのに二十年。も、かかったことに、私自身が驚いていた。
「すごく美味しいよ」
ただ、切って並べただけの料理。それでも
「器がどれもいいね。見たことないなぁ」
などと、ほめてくれる(涙)。よっし!がんばらねば。と、決意も新た。この二十年分を、一気に挽回だ。
「あのね・・・」
なんだか、とても心臓がドキドキした。
「ハビーの家の壁に飾ってもらえるような、おしゃれな絵を描こうと思うんだけど、プレゼントしたら飾ってくれる?」
尋ねながら、「好みに合わないからダメ」って言われたらどうしよう、と真剣に思った。
「もちろんだよ!」
ただ、それだけのことが、涙が出そうなくらいうれしかった。私にもできることがある。喜んでもらえる。二十年以上も、私に欠けていた「ハビーを幸せにしたい気持ち」。
友情とは、なんてすばらしいのだろう。二十年でも、待っていてもらえるのだ。男女の愛なら、到底ありえない長さ。とっくに愛想をつかされている。
今では、「最悪の相手」と言い切ってくれた動物占いの結果に、感謝している。