うちの近所に住む「みさのちゃん」は、小中学校の同級生。豊橋市内、というだけでなく同じ地区なので
「会おうよ！」
と電話して、その十五分後に喫茶店で会うことも、できる。

数年前に、私とベラを訪ねてマラガまで来てくれたが、その時はお互い「スマホ」も持っておらず、「ラインの存在も知らない」状態だったので、連絡を取り合うのがとても大変だった。記憶がある。

そこで、今回の再会の目的。なんとしてでも達成したい私たち共通の願い。祈り。「夏休みの宿題」は
「メッセンジャーでつながること」

と言っても、私たちは二人とも
「テクノロジーにまるでうとい」
ので、最初からかなりの困難が予想された。

どちらかができれば、なんとか引きずり上げてもらうことができる。が、客観的に見て
「みさのちゃんは昨日スマホを買ったばかり」
なので、私が先輩。つまり、レクチャー指導誘導係は、今回に限っては、私ということになる。これだけで、だめ。という感じ。

案の定、待ち合わせ場所である「コメダ」に着いた時点で、大問題が発生。基本中の基本である
「WiFiにつなげくこと」
が、できないのだ。出だしから。

自力でやってみるが、どうにもらちが明かず、結局お店のお兄さんに入力の仕方を教えてもらう。というか、あまりのできなさ加減に
「あの、よかったら僕が入力しますけど、貸してもらってもいいですか」
「あーあーあー、もちろん。どうぞどうぞ！」
入力したのは、結局お兄さん。であった。

なんとか接続が無事完了。周りの人に頼らねば何もできない私たち。ここで、すでに二十分が経過。
「WiFiマークが出てる～」
「やったー」

それにしても、このお店が「超満員超忙しい」時間帯に、笑顔で対応してくれるなんて
「なんてやさしいお兄さんなんだろうねー」
「ほんとー。また来ようね」

すっかり感激。注文した小倉アイスティなど飲みながら、ものすごい安心感と達成感に包まれる。とはいえ「夏休みの宿題」は、まだまだこれからなのだ。

「えーと、まずfaceboookのアプリをダウンロードしなくっちゃ。それからメッセンジャーにつなげるんだと思う」
「何それ？アプリって？ダウンロードって？」

ふっふっふ。言いながら自分でもそう理解はしていなかったが、スマホを買ったばかり。の、みさのちゃんからしたら
「すごーい、ももちゃん！」
なのである。

無事、アプリをダウンロード。
「次は確か、アカウントを作る。だったはず」
説明しながら、思い出す。後藤kk＆クロ隊長にこうして一つ一つ、設定していただいたiPodおよびタブレット。

あの時は、自分のパスワードを入力できるようになるのに、40分ちかくかかった。信じられない光景を、お二人はライブで目にされていたのにちがいない。

パスワードを入力するたびにまちがえ、汗だくになり、溶けてこのままバターになってしまいそうな私の姿に
「僕が入れようか。普通はしないけど」
後藤kkがそっと申し出てくださったのであった。

その時のことを思い出し、今度は私ががんばらねば。と心に言い聞かせる。もくもくと作業を続けていると・・・
「おおー、アカウントができたー」
「やったね、ももちゃん！」
いちいち拍手。レベルが低いと、感動が多い。何をしても達成感がある。ここですでに、一時間が経過。

「よーし。次はメッセンジャーでつながらなくっちゃ！」
そのときであった。
「・・・・・・あれ？」
いきなり、画面が動かなくなってしまう。いったい、何が。しばらくあれこれいじってみたが、まるでだめ。

「あああっ、WiFiマークがなくなってる！」
そう。一時間でいったん接続が切れる。ことを、さっきお兄さんに教えてもらったことを思い出す。
「また呼ぶの、悪いよねぇ」
大丈夫。ニッポンの男の子は、優しいのであった。

そんなこんな。すったもんだ。しながらついに、その瞬間は訪れた。
「つながったーーーーー！」
「やったーーーーー！」
私たちは、本当に手を取り合って、喜びを分かち合った。ものすごい達成感。レベルが低いと
「小高い丘を登ってもエベレスト」
なのである。

さっそく練習。メッセージの送り方。写真の送り方。もう大はしゃぎ。大感激。
「できるって、楽しいね」
「使えるって、おもしろいね」

私たちは二人とも「先生」という職業についている。子供たちと毎日一緒に過ごし、仕事とはいえ人生を分かち合っている。小学生の頃とあまり変わらない自分たちの表情。

「子供たちから見たら、どんな先生に見えるんだろう」
と、ふと思った。

（来週に続く）

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