昨日の続き。京都を出発して豊橋へ。いつものごとく、チェックアウトぎりぎりまで寝ているので、あわてて新幹線に飛び乗る。ギリギリセーフ。
「あー、お腹空いた」
「うー、のどが渇いた」
「そのうち車内販売があるはずだから、もうちょっと待ってね」
やれやれと汗をぬぐっていると、さっそく車内放送が。すっかり忘れていたが、新幹線のすべてに車内販売があるわけでは、ないのだった。
「車内販売は行っておりません。この先、〇〇駅、豊橋駅、で五分ほど停車いたします」
「うそ・・・」
「その間にホームに降りて、お弁当なり飲み物なりを自分で買ってください」
と、案内は告げていた。
呆然とした表情の私を、二人がのぞき込む。
「どうしたの?」
「車内販売もだけど、自販機すらない。らしい」
「・・・・・・」
結局、飲まず食わずで、豊橋駅に到着。もうふらふら。
「お父さーん!」
「あぁあ、よく来たね!豊橋へようこそ。お疲れさま」
ハビ吉とダビーを近くで見た父は、開口一番
「二人とも、なんて体格がいいんだ。かっこいいね」
さっそく二人に訳してやると、うれしそう(笑)。べラもかっこいいと言われて、上機嫌だったけど。
私は毎日、こういう体形を見慣れているのでなんとも思わないが、確かに胸の厚さや腕の太さ、腿やお尻のボリュームは、かなりのもの。
「これから、回転寿司行くけど、いいかな?」
「「うわぁああ、お腹空いたよ~」
「のどが渇いたー」
「はいはい、行きますよ」
父について、店内へ足を踏み入れる。
「おぉおー、ベルトコンベヤーだ!ついに来たー」
さっそく店内の動画撮影がスタート。テーブルに着くや、ものすごい勢いで注文が始まる。
「まずは生中!」
「マグロ四皿。サーモン二皿、エビ天四皿!」
「はまち二皿、鉄火巻き二皿、アナゴ二皿!」
朝食とランチを兼ねてなので、頼み方が豪快。育ちざかりの(?)弟二人を引き連れてだとこうなるのか。食べては注文。飲んでは注文。その時、ハビ吉が驚きの声を上げた。
「おぉお~、テーブルに蛇口がある!すごいっ、お湯が出るんだー」
写真はもちろんビデオまで撮る。この動画は大切にスペインに持ち帰られ、その後至るところで披露される。のを私は何度も目撃した(笑)そのたびに、感嘆の嵐。
「あぁー、食べた・・・」
「ごちそうさまでした」
「ありがとうございます」
ちゃんと日本語でお礼が言えるように。よしよし。
「みんなお腹いっぱいになったかな」
積み上げられたお皿を整える父(写真二枚目)。大満足でお店を出た後は、お隣のスーパーへ。
父について、食料品売り場を回る二人(四枚目)。すべてが物珍しい。らしい。その中でも、二人をとりこにしたのは・・・
「お惣菜&お弁当コーナー」
想像どおり(笑)。べラもしばらくここから動かなかったな。
「これがあれば、何か月でも生きていける。料理なんかしなくていいね」
深くうなずきながら、ダビーがぽつり。
「あー、食べてみたいものがいっぱいだー」
ハビ吉はお土産をここで大量に購入。そのすべてが「抹茶」味のお菓子。
ようやく、豊橋の実家へ到着。玄関をくぐるや、さっそく二人の「お宅訪問撮影会」が始まる。そして、お土産の「ワイン贈呈式」(五枚目)。
「ありがとう!重いのに、大変だったね」
すると、二人は父に訳してほしいと言う。
「このワインは、スペインから来て、大阪、奈良、京都を旅したワインです」
「おぉお~」
「おいしくなっているはずです!」
缶ビールを飲みながらひと休み。その時、父がおもむろに立ち上がり、二人を手招き。
「ハビー、ダビー、こっちへどうぞ」
父の案内で奥の和室へ。何も知らぬ二人。を、待ち構えていたのは、本日のメインイベント
「西日親善吹き矢大会」
「さ、こっちへ。まずは見本を見せるね」
二人にはたして参加する意志があるのどうか。それは尋ねられていない。この部屋に一歩、足を踏み入れた瞬間
「父とゲームをする」
のが、唯一ここから出られる方法なのだ。
「パシッ」
という鋭い音と共に、父の矢が的に突き刺さる。
「おぉおー」
二人は驚きで目を見開き、私の耳元でそっとささやく。
「もものお父さん、選手なの?これは、すごいトレーニングを積んでるよ」
父の指導で、吹き矢に挑戦する二人(六~十一枚目)。それが、初めての割にはなかなかどうして。ちゃんと的に当たる。肺活量があるので、インパクトの音も鋭く、ズバッと的に食い込む。さすがスペイン人式腹式呼吸。声が大きいだけではないのだ。
汗びっしょり。大笑いしながら「西日親善吹き矢大会」も無事終了。会場の隅にある「仏壇」に興味を示したハビ吉。父に教わり、さっそくまねしてみる(十二枚目)。
「すごい・・・家の中に、ミニ寺がある」
だんだん訳すのが面倒くさくなり、さほどのことでない限り、訂正&説明をしなくなってしまった。ニッポンの文化をきちんと理解しているのか。自信はないが、後でゆっくりグーグルに聞いてもらうことにしよう。
(明日に続く)
楽しそうですね~~
吹き矢の筒はけっこう長いんですね。
あははは、momoさんの実家を訪れた人は、みんな吹き矢をしないとダメなのね。
そうです。吹き矢なしに帰ることはできません。
ただし点数は関係なし。
あ、障子だけ破らないようにお願いいたします。