オウムのせいで「顔面パック」をするはめになった。という話。どこかで何かを破いている音がする。
「何やってんのっ」「ぷぷーっ、ひゅい」
振り向いたオウムの足には、10センチ平方の物体が握られている。それが袋で、噛みちぎられてボロボロ。というところまでは確認。問題はそれが
「マスクシート」
であるという点。そう。化粧品。顔をすっぽり覆って素肌に潤いを!というあれ。日本滞在中にもらった試供品。
「いつか使おう」
と大切にしまっておいたのだが、こうしていきなりその「いつか」がやってきた。オウムのせいで。
「ちょっと。封を切ったら乾いちゃうじゃん」
オウムから無理やりマスクシートを取り上げ「顔面パック」に急遽移行。楽譜の整理中で、全くこんな予定では全くなかったのに。
「うわぁ、ベトベトじゃ〜」
しっとり感120%のマスクシート。見れば「カタツムリ成分」と書かれている。おお〜。でんでん虫がこんなことに。
マスクに開けられた穴を、正確に目や鼻、口に合わせるため鏡に向かう。が、鏡に映る自分を見て言葉を失う。こ、これは・・・
「『犬神家の一族』のスケキヨ!」
私の大好きな横溝正史。とは言え、よりにもよってスケキヨとは。あまりのショックで写真撮影。より雰囲気を出すため、モノクロトーンにしてみた。
さて。顔面パックの後、オスカー・ピーターソンを聴いていたら、オウムが踊り出した。なぜかいつも、作品置き場の「棚」をダンスホールに。
「にしても、ジャズピアノで踊るかぁ?」
毎日よく踊るねぇ、と言いかけて言葉を飲み込む。動物は主人に似るらしい。仕方ないか。