ピアニスト時代は、ほぼ毎日「編曲」をしていた。全て「手書き」なので、床にがばっと広げるとかなりの量。大処分する前に
「おお〜!今日までありがとうー」
と、しばしお別れの儀式(笑)18年間よく作り、よく弾いたなぁ。アトリエの床全てを占領。テーブルの周りにぐるりと。
これら全てが「手」から生まれた。というのが感慨深い。ピアノの鍵盤を弾くのも、楽譜を書くのも。その同じ手で、今は絵を描いている。
オウムが邪魔しに入るので、近くにあった「ゴミ箱」をかぶせてやった。少なくとも息はできるじゃろう。
「10分間、おしおきだからね」
と言い放ったものの、もちろんすっかり忘れていた。はっとしておしおきコーナーへ走るが、すでに30分が経過。
「うわぁ〜ごめんねっ」
あれ。いない。ひっくり返ったゴミ箱が転がっているばかり。どうやら自力で脱出した模様。見れば、床の上でホウキと格闘中。ま、元気で何より。
さて。手書きの楽譜たちをゴミ捨て場へ。その足で、久しぶりにカルメン宅へ。テラスでビールなど飲みながら、お互いのフェリア報告。
ゆったりとしたテラスディナーが、たまらなく心地よい。日常のすばらしさ。これも非日常の瞬間があるからこその緩急、コントラスト。
シャネルの口紅の話で大盛り上がり。そして。9月から始まる映画やコンサートの話。帰り道。肌をなでる夜風が涼しくて、はっとした。
夏が行く。
その気配だけで、たまらない淋しさが押し寄せる。二度と戻らない2019年の夏。恋する人が去ってしまうような。夏の終わりは、いつも切ない。