今日は久しぶりに何も作らなかった。夕方から広場に特設された「古本市」へ。お目当は美術書。一万円相当する写真満載のビジュアル本が10〜20ユーロ。オーレ!
その後は「もも衣」の打合せにYukiさん宅へ。仮縫いしたコラージュ服や小物を山のように持ち込む。
「ハギレが落ちてこないよう、ミシンでギザギザに縫ったらどうでしょう?」
鼻の穴を膨らませ勢いよく言い切る私に、Yukiさんは言葉を選びながらぽつりと言った。
「アート作品だし、コラージュのよさを出す意味でも、またほつれてこない点においても『手縫い』が一番です」
実はそれを聞くまで「ミシンの方が頑丈」と、ずっと思い込んでいた。
「手作りこそ頑丈で最上なんです。ミシンより。好きな糸で本縫いしたらどうでしょう」
いろいろなことを教えてくれるYukiさん。目からウロコ。の連続。急にむくむくとやる気が湧いてくる。
「わかりました。やってみます!それじゃ、次のプロジェクト『着物とフラメンコふりふりの合体プラン』お願いできますか」「もちろん!やりますよ。楽しそう」
どんな難題も、嫌な顔1つせず引き受けてくれるYukiさん。本当にありがとうございます。秋冬「もも衣」制作もいよいよ本番。楽しみ〜。
夜は友人と「ブルースナイト」。デパートの屋上にあるテラスカフェへ。紅茶一杯(2,5ユーロ)でライブが楽しめるなんて。
ギターリストの「リト」は、はるか昔一緒に演奏したこともあるミュージシャン。マラガでは有名人なので、写真を撮られまくり(笑)その中をかいくぐって進む。
「ベラの事、聞いたよ。残念だったね」
それが、第一声。彼は少しも変わっていなかった。漂わせる空気も、少し照れたような笑顔も。ハグの後、私の目を見つめて尋ねてくれた。
「それで、ピアノは弾いてるの?」
一瞬、まつげを伏せた。大先輩に尋ねられて。心がチクリと痛んだ。あれだけ命を注いでいた音楽を手放したの?と、聞こえた。
「三年前に、やめました」
でもいつか、ピアノを弾きたいと思う。という言葉を飲み込んで。たとえ弾いても、プロとしてではないのだから。そこには、大きな一線がある。その時だった。
「あれ、あなた8月のフェリアでセビジャーナス踊っていた人よね?」
よくよく聞けば、マラガの夏祭りで同じフェリア会場にいた女性(笑)アートは人を結ぶ。のだった。結局7人でおしゃべり&ダンスタイム。
人生には、いろいろなステージ(段階)がある。別れと再会。そして新しい出会い。
「人生は、人との縁で紡がれていく」
それをしみじみと感じるほど、マラガに秋の夜風が吹き始めた。