今日は珍しく波が立って、レストランの特等席「海に一番近いテーブル」が水びたし。そんな中でのフィフティ女子会。みんな50代。
「オブセシオナーダ(取り憑かれていて)&インプルシーバ(衝動的)」
と、クリスティーナが私を紹介する。まずは定番、焼きイワシでスタート。ポテトサラダやコロッケなどをつまみながら近況報告。
「誕生日祝いでもらったキャンバス地。コラージュ作品にして、日本文化週間の開会式に着て行ったよ!」
「なにこれ、すごいじゃん!」「うお〜っ」
スマホの写真をのぞき込む女子軍。その目がいっせいに今期の「もも衣」に集中する。浴衣に始まり、白地にマリンブルー、黒Tシャツにシルバー・・・
「なんでキャンバスに描かないの。もったいない」
「本当に、オブセシオナーダ(取り憑かれていて)&インプルシーバ(衝動的)だ」
「興味がアートにしか・・・ないのね」
みなさんに納得されながら進むランチ。50代の女達は、みんな適度に力が抜けていい感じだ。
「今が一番楽しい!」
と、声をそろえて言う。旦那様も恋人もいないけれど
「自分とうまくいっている」
絶対的な安定感。こうしてくったくなく心おきなく笑える今日にたどり着くまで、私達は何と沢山のものを失くしてきただろう。
「今度、みんなで◯◯しようよ」
女友達の言葉に、私は正直に答えた。
「その時間があったら、一枚でも絵を描きたい」
20代、30代では言えなかった。自分に与えられている時間に限りがある。と、はっきり感じている今だからこそ、迷わず言える。
「アウテンティカ(本物だ)」
女友達は笑いころげ、ビールを掲げて3度目の乾杯をした。