1メートルの応募作品を自力で持ち帰った翌日、不思議な気持ちに包まれた。マラガ的サプライズ「一糸まとわぬ姿&バスと歩き」運搬だったからこそ
「作品はひとときでもマラガの空気を吸い、街の中にたたずみ、マラガっ子たちに眺められ、声をかけられた」
のだ。それに気づくのに一夜が必要だった。私には「大変な目」でも、作品にとっては新世界体験。
「それくらいの散歩させてくれたって!外の世界に触れられて楽しかった」
そう言っている気がした。アトリエと市役所の往復だけで、お日さまの光ひとつ、そよ風ひとつ知らずに育ったコラージュ娘。
「私を見て!マラガのよさが詰まってるよ」
そう誇らしげに胸を張る、彼女(作品)の声が聞こえるような気がした。
「大変な旅だったね。でも、いろんな人に話しかけられたね」「バスの運転手さんも、あなたを見て驚いてたよ」
アトリエの棚に置かれた彼女に話しかける。フェリアのポスターには選ばれなかったけど、一瞬でも
「マラガの街の中に身を置いた!」
そのことが、とてもうれしかった。だって。彼女は告知ポスターなんだもの。美術館に置かれる芸術作品とは違う。街中で、野外で、周りの人達と元気やパワーを分かち合うために
「マラガの情熱と色」
を、まとったのだ。その願いが、彼女の存在理由が、一瞬でもかなってうれしかった。マラガの街を散歩できる機会を、また作ってあげたい。
とんでもないサプライズの連続だった「アトリエ〜市役所フェリア課」の旅。
でも、二人で力を合わせて往復したことが、かけがえのない私たちの思い出となっている。