フェオーナが、その新しい町に着くと
「お祭り」が行われていました。
通りはたくさんの人であふれています。
広場では「ボクシング」が行われ
ちょうどチャンピオンが決まったところでした。
手を高々と上げるボクサーに近づくと
フェオーナはリング下からたずねました。
「わたしの鳥を見ませんでしたか?
あなたみたいに立派な大きい鼻をした」
「この鼻は、ぶたれてふくらんだんだ!
僕の鼻はもっとスマートだよ」
次の広場では「大道芸人」たち
のショーが行われていました。
フェオーナはお金を持って
いなかったので
道すがらつんだ草花を
そっと男の前に置きました。
「なんだか、さみしそうだね。
どうかしたのかい?」
「わたしの鳥を探しているの。
あなたみたいな立派な
大きな鼻をした・・・」
「大きな鼻なら、この先の
広場に行ってごらん!」
フェオーナは走って
次の広場に向かいました。
「・・・この町のために貢献して参ります!」
立派な服を着て拍手の中、演説している
のは、その町の「市長」でした。
「大きくてもいやな鼻だわ。きっとうそばかり
ついて、あんなになったんだ・・・」
フェオーナは広場をあとにすると
次の町に向かって歩き出しました。
今こうしているあいだも、ひとりぼっちでいる鳥のことを思うと、涙が出そうでした。
でも、海賊が言っていたっけ。
「ソイ・トゥ・アミーゴ・シエンプレ(いつだって、僕はきみの友達だよ)!」
魔法のような言葉。くりかえすだけで、力がわいてくる。
「友達って、その人のことを思うだけで、元気がわいてくるものなんだ」
あの市長もそう言えばいいのに、と思いながら、フェオーナは歩き続けました。
(「ベラの絵本・5」につづく)