フェオーナは次の町に着くと
「大きな鼻」をたよりに
鳥を、探し続けました。
「わたしの鳥を見ませんでし
たか。鼻の大きな鳥なんです。
あなたたちみたいに!」
雪だるまを作っていた
男の子が答えました。
「この鼻は、にんじんだよ。
でも、この先の広場で
鼻の長いのを見たなぁ!」
広場に行くと、サーカスの一団が今まさに
町に到着したところでした。
「鼻は長いけど・・・わたしの鳥じゃないわ」
毛むくじゃらの象の、その大きな背中の上で
一羽の鳥が羽を休めています。
ふたりは互いに気づかい
互いを「自分の大切な宝もの」のように
思っているように見えました。
「わたしの鳥・・・どこにいるのかしら」
フェオーナは大好きな鳥のことを思い出して
涙が出そうになりました。
でも、もっと心細い思いをしているのは、ひとりぼっちでいる鳥なのにちがいありません。
「そうだ、歌をうたおう!」
フェオーナは、大きな声で歌い始めました。
それはいつも、鳥に向かって歌っていた、フェオーナが作った歌です。
ちゃんと歌詞も、3番まであります。
これを歌うと、鳥は元気になったり、あくびをしたりしました。
「きっと、見つけ出すからね」
フェオーナはどこまでも歩いて行く覚悟でした。大好きな鳥のためなら。
「エレス・ミ・テソーロ(あなたは、わたしの大切な宝もの)!」
そう口にすると、とたん元気がわいてきました。
「この歌声が鳥に聞こえるといいな」
と思いながら、次の町に向かって歩き出しました。
(「ベラの絵本・6」につづく)