【一日一作プロジェクト】ブローチアート「日の羽・空楽玉(そらだま)」を作った。今日はいよいよ超人気遊歩道「カミニート・デル・レイ」へ!ハビ吉が車で現れる。
「もも・・・実は大変なことになってね」
その表情は暗く沈んでいる。いったい、どうしたのだ。オンラインでチケットも予約購入済み。あとは車で駆けつけるだけ。
「今さっき、僕のスマホにメッセージが入って」「誰から?」
「遊歩道の事務所から。本日は強風のため急遽クローズしますって」「えええっ」
あまりの衝撃で、しばらく私たちは顔を見合わせ固まっていた。車の中で。だって、マラガは風ひとつない絶好のハイキング日和。やや雲ってはいるが
「遊歩道であって登山じゃない」
のだ。子供達だって遠足に行く場所。次第に「このメッセージは本当なのか」と疑いまで湧き起こってきた。
「行ってみようか?」「うん、行ってみよう!」
ダメもとで。もう歩く気は120%なのだ。マラガから車で1時間ちょっと。視界の中に青緑色の湖、山々が飛び込んでくる。おお〜。さっそく車を止め入口へ。
「うわあー、けっこういるね」
いるわいるわ、私たちのような「とりあえず来た」歩き人が。声をかけると、ロンドンからとかハエン県からとか。みなさんかなり遠方から駆けつけている。
「チケットの予約時間の1時間半前に、中止の連絡じゃ遅すぎるよ」
ぶつぶつ言いながらも、トンネルの入口から中へ(写真)。うわーテンション上がる〜。トンネルを抜けるとそこは
「自然遊歩道だった」
ひたすら絶景が続く。その時わかったが、要予約&有料の「カミニート・デル・レイ」は、この無料自然遊歩道のずっと先。突き当たりの渓谷ゾーンだけなのだった。つまり
「そこ以外は、自由に歩き回れる」
ということを、現地で知った(笑)本当に来てよかった。思いがけずクローズしていてくれたからこそ、出会えた新しいルート。
「気持ちいいよーーー!」
山に川に、林に湖。木陰に抱かれ、水音に耳を澄まし、ぐるりと一周コースで約1時間ちょっと。野生のイチジクの大樹が小さな実をつけている。
「すごい〜セミの大合唱!」
マラガ市街地にセミはいない。ので、もう久しぶりの感覚。草笛を作って「ブーブー」鳴らしながら歩く。なんてすばらしい自然遊歩道。それも無料。
「マスクなしでいいね」
誰にも出会わないんだもん。ほんのたまにすれ違うと、お互い嬉しくて挨拶。その時だけマスク。外出禁止令が3ヶ月続いた後なのだ。
「緑に包まれて、マスクなしで深呼吸する」
歓びは、この上ない。道中はかなりのアップダウンだけど、景色のすばらしさに引き込まれ、どんどん歩いてしまう。もう大満足。なんだかお腹も空いてきた。
「冷たいビールが飲みたい」「いいバルがあるよ!ももが好きそうな店」
再び車に乗り込むと、ハビ吉はどんどん山の奥へと車を走らせる。まるで人影はないが、大丈夫なのか。はたしてこの先に、本当に冷たいビールはあるのか(明日に続く)