日本上陸記&異花

【一日一作プロジェクト】メッセージアート「異花(いばな)」を作った。「日本上陸記・3」。いよいよスペイン出発2日前。

「PCR検査をしにクリニックへ」

証拠となる「予約確認メール」を持っているので安心。るるるーん。クリニックがあと10メートルという時、突然ドアから2人の女性が飛び出して来た。

「ゴホッ、ゴホゴホッ」「うぇえ〜〜〜っ」

ハンカチで鼻を抑えながら、体を折り曲げ苦しみ悶えている。そして勢いよく「ハックショーーーーン」。あわてて手前の通りに飛び込み、まき散らされた菌から身を守る。

「絶対に陽性を出してはいけない」「陰性のみ!」

心も体も自分で守らねばモード。これ全て日本上陸のため。なんという緊迫感。若い2人の女の子たちは、まだ鼻をふがふがさせながら

「鼻の中にあんな棒を突っ込まれて」「もう2度とやりたくない」

苦悶の表情で、通りを過ぎ去って行く。これから同じ検査をやる者として、1番見たくない光景かも(汗)。まさしく私たちは「PCR鼻検査ビフォー&アフター」。

「予約した者ですが〜」「どうぞ。待合室で呼ばれるまでお待ち下さい」

おぉお。検査が受けられるだけで感謝。もう痛かろうが不快だろうがかまわない。無事に検査をすませ「陰性を出す!」。こんな覚悟を持って検査に挑むのは初めてだ。

「どうぞ中へ。イスにお座りください」「ちょっと鼻がムズムズしますよ〜」

綿棒のような物体が、鼻の「右穴」に突っ込まれる。そして、間髪入れず2本目が「左穴」へ。

「両穴やるなんて知らなかった」

さらに。3本目は「喉の奥」へ。なんと3回。大サービス。勝手に1回だと思い込んでいたので、ちょっと驚いた。それでもお姉さんが上手だったのか、ささっと問題なく終了。

「明日の朝には結果をメールでお伝えします」「日本の厚生労働省のフォーマットでお願いします!」「メールでなく『紙』で」「英語とスペイン語併記の」「クリニックの名前や医師のサインが入っている」・・・

必死の形相で、受付のお姉さん方にくり返し訴える。

「1つでも不備があると日本入国できないので、絶対に間違いのないようお願いします!」

別人のような私(笑)。きっと「神経質&マニアックなアジア人」として記憶されるんだろうな。ふだんの私は、超おおざっぱでめんどくさがり。

「異なる未知の自分が、新しい花を咲かせてくれる」

異花(いばな)。自分を信じて進んでいこう。いよいよ明日は、スペイン出発前日。

「どうか陰性でありますように!!!」

両手を合わせて祈る。まるで合格祈願。PCR検査の結果いかんによっては「日本上陸」の夢は絶たれるのだ。はたして。(明日へ続く)

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