【一日一作プロジェクト】布&ひもで「ベソよ、届け!」を作った。4/1から開始した「一日一作プロジェクト」も4ヶ月。120点近い。先日、酒井さんよりこれだけの作品を
「いったいどこに収蔵?」
と尋ねていただき(笑)その辺りの説明が全くされていないことに気づいた。話は「外出禁止令」が発令された3月中旬にさかのぼる。
「コロナパンデミックの収束を祈って」
スタートした「一日一作プロジェクト」。その頃、スペインは毎日感染者が5000人増、500人死亡という「第三次世界大戦」状態だった。
「もしかしたら、自分も感染して病院から生きて出られないかも」
くらいのことは、思った。たぶん多くの人が。少なくとも私は一度、自分の身の上を覚悟した。
「この人口呼吸器が足りない状況で、スペイン人と日本人がいたら、最後の一個をどっちに使うか」
見えるような気がしたのだ。覚悟を決めて「物の整理」を始め、どうせなら「捨てる前に創作に使おう」と。そこから
「布&ひもアート」
が生まれた。床に2メートル平方のキャンバス地を敷きスペース作り。その上を裸足で歩き回りながら、布やひもをばんばん置いていく。
これまでも「百夢月(ももゆめづき)」「わくわくまだらん」「遊流花(ゆるばな)」「百遊芽(ももゆめ)」「虹月のゆりかご」「心野百花(こころのももばな)」などの作品が、こうして生まれた。
作品の大きさがわかるよう、自分の足も入れて撮影。結論から言うと、これらの作品は
「一つも残っていない」
そう、保管されていないのだ。作り、写真を撮り、次の作品作りのため消えていった。二度と見ることは、ない。
外出禁止令だったため、アトリエに訪れる人もなく、誰にも見られることなく
「生まれ、消えていった」
まるで、一輪の花のように。花は、誰かに見られるから咲くのではない。誰にも見られていなくても、懸命に咲く。一度きりの命を開ききる。
アートもしかり。「布&ひもアート」は、そんな一輪の花のような、はかなさ、ライブ性、一期一会の潔さを教えてくれた。
展示できない、売り物にならないアート。それでもやる価値があるか。時間とエネルギーの無駄ではないのか。そう言ってくれる人もいた。が、
「彼らは確かに存在した。そして。誰かの心を動かした」
何より、こんなにも私の心を奪い、夢中にさせた(笑)朝から晩まで。何日にも渡って。もちろん今も取り憑かれている。
「つかの間でも、布とひもに命を与えることに」
わずか一日の。朝咲いて、夜しぼむ花のような。あまりにも短い命。しかし。見方を変えれば、けして消えてしまったのではない。
「布とひもに、戻った」
のだ。また新しく生まれる変わるために。土に、水に、風に還るように。
「全ては形を変える」
私たちの命もまた。全ては流れの中にある。とどまっているように見えるだけで、全ては変わり続けている。
「ベソよ、届け!」
ベソ(キス)の中を季節が、時間が、人生が流れていく。人生で出会ったみなさんへ、感謝の気持ちを込めて。ありがとうの代わりに。ハグの代わりに。ベソ(キス)を贈りたい。
今日7/30は「Día internacional de la Amistad」。国際フレンドシップ・デー。友情の日。無謀&暴走・突拍子者の私ですが、これからもよろしくおつきあいお願い致します。